児童生徒1人に端末1台という「GIGAスクール構想事業」で、公立高校に貸し出し用として整備されたパソコンの利用状況を会計検査院が調べたところ、全体の3割にあたる約2.6万台(国費約9.9億円)が全く使われていなかった。検査院は「利用の促進を進めなければいけない」としている。
各自治体は国の補助を受け、非課税世帯向けの「高校生等奨学給付金」などを受給している世帯の学生向けに、貸し出し用のパソコンを整備している。ただ、教育現場ではパソコンは様々な利用が想定され、その他の利用も検討するように定められている。
北海道や大阪府など38自治体が2021年度に整備した約9.5万台(国費約38億円)について、24年4月末までの貸し出し状況を検査院が調べたところ、静岡県や京都府など14自治体の貸与率は50%を切っており、約2.6万台は使われていなかった。
茨城県は4671台を整備したが、貸し出しは最大で1392台、貸与率は29.8%。その他の利用方法を検討せず、約7割のパソコンは使われていなかった。静岡市は6%、広島市は5%と貸与率が低迷していた。
文部科学省は「コロナ禍によるリモート授業により、パソコンの貸し出しが増えると見込まれたが、購入する世帯が多かったようだ。それ以外の利用について周知が不十分だった。指摘を受け改善したい」としている。
=朝日新聞デジタル2024年10月15日掲載