「GIGAスクール構想」が始まって7カ月ですが、1人1台配備された端末の本格的な活用はこれから、という学校もあるのではないでしょうか。そこで、すぐにでも使えそうな活用例をお伝えします。文部科学省が公表している事例に、担当者への取材を盛り込んでまとめました。   

Googleの「スライド」など共同編集機能があるプレゼンテーションソフトを使う作業では、それぞれの考えを共有できる一方、友だちの考えが見えてしまうために1人でじっくり考えることが妨げられてしまうおそれがある。そこで、あえて友だちと共有しない時間を作る方法の一つが、「自分だけのスライドと共有するスライドの使い分け」だ。

使うのはプレゼンソフトとファイル共有機能だけ。GIGA端末のどのOS(オペレーティングシステム)にも付いている標準仕様のものだ。 

各自ダウンロード、オフラインで作業

写真の事例は小学2年生の算数で、たくさんの数の数え方を学習しているところ。先生はまず、ボール型のチョコレートが「工」の字形にたくさん並んだシートを用意し、数え方を考えるよう指示する。その際、子どもたちにはシートを収めたフォルダーのありかを伝え、「自分でアクセスしてシートを取りに行ってね」などと求めたとみられる。

4×4
シート上のたくさんのチョコレートをうまく数えられるよう、何度も並べ替えを試す。真ん中にたて、横4個ずつ並んでいたが、うち3個はどこかに移動してしまったようだ=出典は文部科学省ホームページ (https://www.mext.go.jp/)

子どもたちは自分の端末にシートをダウンロードすると、チョコレートを数えやすいように並べ替えるなどの作業をオフラインで行う。この場面で画面共有せず、1人ひとりで取り組むのがポイントだ。いくつもの方法を考えようと、シートを何枚かコピーする子もいる。

個人での作業を終えたら、「提出箱」などと名付けて作っておいたフォルダーに投稿してもらう。先生がだれかのシートを大きなモニターに映してみんなで見てもいいし、友だちどうしそれぞれのシートを見に行くこともできる。 

送信
ある程度自分ひとりで考えてから送信。先生が指定したフォルダーにいろいろな数え方が集まる=出典は文部科学省ホームページ (https://www.mext.go.jp/)

人に影響されず試行錯誤させる

この問題では、並べ替えのやり方次第でかけ算九九がわかれば簡単に数えられるが、この子たちはまだ6の段まで習っていなかった。それまで学習したことをどう生かしたら数えられるか、まずは人に影響されずに試行錯誤させることがこの先生の意図だったという。