机の上に積まれた教科書の束。宮崎市の川尻元さん(26)は、中学校入学以来の光景に感慨にふけった。

 22日、宮崎県内初の公立夜間中学となる宮崎市立「ひなた中学校」の入学式が、学校を置く市教育情報研修センターで開かれた。

 川尻さんは、長友・リリベス・メンドサさん(47)と一緒に17人の入学者を代表し、「たのしく学びあえる学校をつくっていきたい」とあいさつした。

 川尻さんは中学を一度卒業したものの、在学中は学業に集中できず、「学び直したい」と入学した。「昔できなかったことを取り戻したい。同級生との交流をがんばりたい。まずここで勉強して、高校に進学したい」と話した。

 市教委によると、初の入学者は市在住が15人、綾町と西都市からも1人ずつが通う。年代別では、10代4人、20代2人、30代1人、40代6人、60代1人、70代が3人で、外国籍は3人。

 入学対象は、義務教育を修了していない人や十分に中学校に通えなかった人、出身国で義務教育を終えていない外国籍の人など。1学年1学級で、午後5時25分から午後9時まで、週5日の授業がある。本人の希望により、2年や3年への編入もできる。

 25年前に結婚してフィリピンから来日した長友さんは、小学校を卒業後に働き、中学に進む機会がなかった。あいさつでは、「My dream has come true now」と語り、「何でも勉強したいです」と笑顔を見せた。

 渡会洋一校長は「みなさんの学びたい思いが互いに尊重され、学ぶことの喜びを感じられるよう環境づくりを大事にする。一人ひとりの違いを理解し、支え合えるひなたのような学校にしていきたい」とあいさつした。

 文部科学省のまとめでは、昨年10月時点で17都道府県に44校の公立夜間中があり、ひなた中を含む9校が今年4月開校予定という。

=朝日新聞デジタル2024年04月24日掲載