コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置している公立学校のことを指します。その数は年々急速に増加しており、注目度も高まっています。この記事では、コミュニティ・スクールの役割やPTA・学校評議員との違い、設置状況、課題などを、大学の教育学部長・教授が詳しく解説します。

1.コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは

コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置している公立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・義務教育学校・中等教育学校のことを意味します。

これは地方教育行政の組織および運営に関する法律にもとづく制度です。コミュニティ・スクールの名称は同法に明記されておらず、いわば通称になるので、自治体によっては「地域運営学校」と称する場合もあります。

なお、コミュニティ・スクールの名称は欧米でも用いられ、日本では戦後直後にカリキュラム開会の理念として用いられた歴史があります。この記事で取り上げる「コミュニティ・スクール」は、学校運営協議会を設置している公立学校とします。

(1)コミュニティ・スクールの役割

法的には学校運営協議会の役割として、以下が明記されています(参照:地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第四十七条の五|e-Gov法令検索)。

  1. 校長が作成した学校の基本方針を承認すること
  2. 教育委員会や校長に学校運営に関する意見申し出ができること
  3. 教職員の任用に関して任命権者(市町村立学校の場合は都道府県教育委員会)に意見を申し出ること

そのほかの役割として、学校支援に関して関係者の理解を深め、支援に関する協議結果を保護者らに情報提供することも期待されています。

(2)コミュニティ・スクールの仕組み