発達支持的生徒指導とは? 重要性や具体例、実践のポイントを解説
2024.09.14

星野真澄
明治学院大学文学部専任講師

発達支持的生徒指導とは一体どんな「生徒指導」でしょうか? 文部科学省が2022年に改訂した「生徒指導提要」の中で発達支持的生徒指導の重要性が示されています。いま学校教育の中で求められている発達支持的生徒指導について、教育学研究者がわかりやすく解説します。
1.発達支持的生徒指導とは
発達支持的生徒指導とは、児童生徒自身が、自発的・主体的に自らを成長・発達させる過程を支える生徒指導の在り方を指します。すべての児童生徒を対象に、すべての教育活動の中で、日常的に進められる生徒指導の基盤となるものとして重要視されています。
発達支持的生徒指導の「発達」とは、児童生徒が自らを自発的・主体的に発達させることを尊重する姿勢を示した言葉です。発達支持的の「支持的」とは、児童生徒の発達をいかに支える働きかけをするか、という視点に立った言葉です。
発達支持的生徒指導の具体例としては、児童生徒への挨拶、声かけ、励まし、賞賛、対話など学校教育活動全体を通じた働きかけを重んじる教育が挙げられます。
文部科学省が2022年に改訂した「生徒指導提要」では、生徒指導の構造として「2軸3類4層構造」を示しました。
生徒指導の2軸とは、児童生徒の課題への対応の時間軸に注目したものであり、次の二つの軸があります。
生徒指導の3類とは、生徒指導の三つの種類を指します。生徒指導をその課題性(高い・低い)と課題への対応の種類という観点から分けると、以下の三つに分類されます。
生徒指導の4層とは、生徒指導の重層的支援構造を示すものです。
2軸3類4層構造のイメージ図(生徒指導提要(改訂版)p.17丨文部科学省をもとに筆者作成)
この構造から、発達支持的生徒指導は、すべての児童生徒を対象に常態的・先行的(プロアクティブ)に行われる日常的な生徒指導であり、生徒指導の基盤をなしているとイメージできるでしょう。
2.発達支持的生徒指導の重要性
文部科学省は2022年に「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂しました。そこで示された生徒指導の定義は、次の通りです。

星野真澄
明治学院大学文学部准教授。博士(教育学)。『アメリカの学級規模縮小政策』でアメリカ教育学会賞受賞。ほかに『チャートで学ぶ教育学』(教職課程コアカリキュラムに準拠したシリーズ本)を執筆。『教育における女性リーダーシップ』(風間書房)を共訳。