一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村正己)は2023年10月、新入社員の仕事や働き方に関するアンケート「2023年度 新入社員意識調査」の結果を発表しました。調査は同協会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象にインターネットで実施し、4月4日~11日の間に675人から回答を得たそうです。今回は、調査結果の中から「これから仕事をしていく上で、どのようなことに不安がありますか」(複数回答)という設問に対しての回答をランキング形式で紹介します。

5位 会社の雰囲気(企業文化等)になじめるかどうか(32.7%)

5位は「会社の雰囲気(企業文化等)になじめるかどうか」(32.7%)でした。私が学生の頃は、企業の採用ページなどで「アットホームな職場」や「カジュアルな雰囲気」のような紹介文を見かけても気にも留めませんでした。「会社の雰囲気なんて、個人の感想だ」という思い込みがあったからです。就職してから、同業他社の同期と話しているなかで、上司とのやりとりの方法や新人教育のやり方など、企業ごとの職場の文化が全く異なっていることを知りました。もちろん職場の一人ひとりの性格や人柄なども会社の雰囲気に影響するとは思いますが、培ってきた歴史、制度なども大きく影響しているように思います。新人の頃に先輩から「お前、この会社にあんまりいないタイプだな」と言われて「会社の雰囲気になじめていないのでは」と不安になったことを思い出しました。

4位 ビジネスマナーや常識(48.4%)

4位は「ビジネスマナーや常識」(48.4%)でした。新人の研修期間にビジネスマナーを学ぶ人も多いかも知れませんが、短い期間で全てを網羅することはできません。マナーも常識も、社会の荒波にもまれるなかで少しずつ身につけていくものではないでしょうか。ちなみに私が新人の頃に嫌だったのは、3人でタクシーに乗るときでした。「新人は後部座席の中央の席に座るのがマナー」と言われていますが、私は比較的体が大きい方らしく、実践してみると両隣の上司が窮屈そうで気まずかったからです。

3位 仕事での失敗やミス(50.7%)

3位は「仕事での失敗やミス」(50.7%)でした。学生の頃はテストで間違えても減点されるだけですが、社会人になるとたった一枚の書類の小さな記載ミスが許されない場面も出てきます。報道の場合は記事の「訂正」もその一つだと思います。学生の頃とは異なる「責任感」に不安を感じる方も多いはず。私は今でも「仕事で失敗やミスを起こしてしまうのでは」と、不安になることがあります。そういう時に一番心を落ち着かせることができるのは、失敗やミスをしないために手と頭を動かすことだと思っています。

2位 仕事に対する現在の自分の能力・スキル(65.6%)

2位は「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」(65.6%)が選ばれました。仕事の内容にもよりますが、学生の頃に学んだことが仕事に直結しない人も多いのではないでしょうか。私も学生の頃は記事を書いたことがなく、入社してから初めて経験することばかりでした。難しいと感じる仕事に直面するたびに「自分の能力やスキルが足りない」と不安になりました。しかし残念ながら、働き始めて十数年が経った今でも毎日、「能力やスキルが足りない」と感じています。この世の中、能力もスキルも持てあましている人の方が少ないと思うので、大器晩成型だと自分を信じて頑張ることにしています。

1位 上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか(68.6%)

1位は「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」(68.6%)でした。日常生活の多くの時間を過ごす職場だからこそ、人間関係は不安ですよね。私も同僚や上司との関係で悩んだ経験がたくさんあります。「人間関係を円滑にする方法」のような自己啓発本を読みあさった時期もありました。そんななかでベテラン社員から「俺にも大げんかしたやつもいるし、一生許さないと決めた上司もいる。人間だから相性はあるんだよ。全員に合わせようとしないで、自分に合う人を見つけた方が良いよ。ちなみに、俺もあいつは大嫌いだ」と言われて一緒に大笑いした記憶があります。それから少し、気持ちが楽になりました。

今回のランキング紹介は以上です。期待と不安を抱えた多くの新社会人が、1年目の半分を終えました。「新入社員」を対象としたアンケートですが、新任教員の方々が感じていた不安にも、近いものがあるのではないでしょうか。また先輩となった先生たちも、いまの新社会人が不安に感じていることを知り、よりよい職場づくりの参考にしていただけるとうれしいです。