桃太郎電鉄とは
人気ゲーム「桃太郎電鉄」の第1作は1988年に誕生しました。様々なアップデートを加えながら新作が登場しているロングセラー商品です。2020年11月の最新作「桃太郎電鉄~昭和 平成 令和も定番!~」は発売から累計350万本を超す大ヒット商品となっています。
すごろくゲーム
桃太郎電鉄は、プレーヤーが電鉄会社の社長としてサイコロを振って止まったマスのイベントでお金を増やしていく「すごろくゲーム」です。
サイコロで止まったマスによってお金が増減したり、ゲームを有利にするカードがもらえたり。駅のマスに止まると物件を購入することもできます。決められた目的の駅に一番早く着いたプレーヤーには賞金が贈られますが、ゴールしてもゲームは終わらず、次の新しい目的の駅がランダムで選ばれます。
プレーヤー全員がサイコロをふり終わるとゲーム内の時間が1カ月進み、ゲーム開始時に設定した「プレー年数」が終了した時に一番資産を持っているプレーヤーが勝ちとなります。
ゲーム内に登場する駅名は、実在する駅をモチーフにしており、プレーヤーは駅のマスに止まると物件を購入することができます。例えば「横浜駅」なら、「サンマーメン屋(1000万円)」や「シューマイ屋(3億円)」「サッカースタジアム(200億円)」など、地域の名産、特産物、名物が反映されています。物件を購入すると一時的に手元のお金は減りますが、持っていると毎年収益を得ることができます。ゲームで遊んでいるうちに各地の駅名や特産物などが記憶に残るため、「桃鉄で地理を覚えた」という人も多いはずです。

桃鉄教育版の特徴
学校への無償提供が始まった桃鉄教育版は、最新作「桃太郎電鉄~昭和 平成 令和も定番!~」を教員のアドバイスを踏まえて改良したモデルです。正式名称は「桃太郎電鉄教育版Lite~日本って面白い!~」。今回のセミナーでは、教育版ならではのゲームバランスや、新たに設けた教員の管理画面も公表されました。
申し込みは2023年1月24日スタート
桃鉄教育版は、2023年1月24日に申し込みの受付をスタートしました。申し込みは桃鉄教育版の公式サイトで受け付けており、申請は学校単位、または教育委員会・地方自治体組織単位となっています。
申し込み完了後、5~7営業日ほどでログイン用のIDとログインパスワード、URL、取り扱い説明書がメールで届きます。桃鉄教育版の利用はメールが届いた日から可能になるそうです。
GIGA端末対応 まずはブラウザ版から
同社は当初、ゲームを端末にインストールする形で遊ぶ想定をしていたそうですが、開発アドバイザーとなった教員らの要望を踏まえ、GIGAスクール構想で配備された「GIGA端末」で使用できるようにブラウザ版の開発に切り替えました。学校に配備されているクロームブックやiPad、ウィンドウズパソコンといった機種を問わず、指定のURLを入力することで使用可能になる予定です。ただ自治体によっては接続できるサイトを限定している地域もあり、細かい調整が必要な可能性もあります。
●1作目以来35年ぶりに貧乏神なし
桃太郎電鉄の特徴の一つが、キャラクターについてまわる「貧乏神」です。貧乏神にとりつかれたプレーヤーは意図しない物件の購入や放棄、理不尽な散財に苦しめられますが、別のプレーヤーと接触することで相手になすりつけることができます。ゲームをスリリングにする要素として、歴代の桃太郎電鉄で親しまれてきましたが、教育版では出現しないことになっています。貧乏神が出現しないのは、1作目以来35年ぶり。学びの要素を増やすことと、特定の人に集中的に貧乏神をなすりつけるいじめ行為が起きないようにすることが目的だと言います。またゲーム全体を通じて、通常の桃鉄よりも持ち金の過度な変動を避けるようにバランスが調整されているそうです。
●特定のプレーヤーを指定して攻撃できない
また同様の理由で、特定のプレーヤーを指定して攻撃することはできない仕様となっています。ゲーム内には、プレーヤーがゲームを有利に運ぶためのお助けアイテムとして、様々な「カード」が登場しますが、相手の邪魔をする内容の場合は、その対象がランダムで選ばれることになります。
●お色気要素はなし でも情報は充実
桃太郎電鉄ではマップ上を「虫眼鏡」を使って探索することができます。地域の特徴や駅で購入できる物件などを調べる機能で、通常の桃太郎電鉄では、温泉などに虫眼鏡を合わせるとセクシーなキャラクターが登場するなどの「隠し要素」もプレーヤーを楽しませるポイントの一つでした。ただ、教育版ではこうした「お色気」要素は排除し、ランドマークとなる建物や地域の名物に関する情報を充実させているそうです。
●地域を限定したプレー
教育版はゲーム開始時に遊ぶ地域を「北海道」「東北」「関東」「中部」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」「全国」から選べるようになっています。多くの学校で地理を学ぶ際に地方別に学ぶことを踏まえたもので、地域を限定することで目的地が近くなるため、短い時間でもゴールする回数を増やすことができるメリットもあるそうです。

●プレー年数は1~3年 想定プレー時間は最短約18分から
ゲーム開始時に決める「プレー年数」は、1~3年から選べます。一番短い1年を選び、プレーヤー1人で遊ぶ「ひとりで桃鉄」を選ぶと、想定されるプレー時間は約18分になるそうです。遊ぶ人数や年数を増やすと、プレー時間も延びることになると想定されています。
●マルチプレーは4人まで オンライン対戦未実装
複数人で遊ぶマルチプレー「みんなで桃鉄」は2~4人で遊べます。しかし、現時点ではオンラインでのマルチプレーには対応しておらず、複数人で遊ぶ場合は1台の端末を複数人で共有する形となります。
●教員側でゲーム管理が可能

「教育祭り!」では、教員側の管理画面も公開されました。
教育版では、教員が授業パスワードを発行しなければ子どもはプレーすることができない仕様が予定されています。
教員側で管理ができるのは「参加人数」「プレー時間」「ゲームの一時停止」などで、休み時間や放課後、休暇中にプレーさせたい場合は、「有効期限」を設定することで可能になるそうです。
「地域を限定して特産を知る」実践報告

教育祭り!では、現役の小学校教員が担任するクラスで桃鉄を使った実践報告もありました。
登壇した小学校教員の坂本良晶さんは、ツイッターフォロワー数が4万人を超すインフルエンサー。2020年1月に自身のツイッターで「総合的な学習の時間で『桃鉄』を5時間ぐらいやれば、社会科の『都道府県の特色』と算数の『一億を超える数』ぐらいみんなできるようになると思う」とツイートすると、8千以上の「いいね」が付いたそうです。登壇した坂本さんは「正夢ならぬ、正ツイ(ツイート)になりました」と語りました。