教育委員会はどんな役割を担っていて、どんな人が教育委員に選ばれているのでしょう。そして、そもそも教育委員会はなぜ必要なのでしょうか。自治体ごとに学校教育などに関わる事務を担当する機関といった漠然とした認識はあるものの、実際はどんなものなのか、ちゃんと説明できる人は少ないかもしれません。教育行政に詳しい明星大学教育学部教授の樋口修資さんに解説してもらいます。

樋口 修資(ひぐち・のぶもと)
明星大学教育学部教授。専門は、教育行政、教育政策、学校経営、比較教育。1976 年に文部省(現文部科学省)入省、大臣官房審議官、スポーツ・青少年局長、放送大学学園理事などを歴任し、2009 年より現職。(独法)教職員支援機構評議員、放送大学評価委員会委員、自治大学校研修講師、教職員の働き方改革推進プロジェクト代表なども務める。著書に、『教育の制度と経営』(明星大学出版部)、『頻出 教育法規キーワード90』(教育開発研究所)、『学校をブラックから解放する』(学事出版)、『支援スタッフで学校は変わるのか』(アドバンテージサーバー)、『教育の最新事情』(明星大学出版部)など。

教育委員会とはどんな組織か

教育委員会は、地方の教育行政において、公正な民意の反映と教育の政治的中立性の確保の観点から設けられている合議制の執行機関です。中立性を確保するため、地方自治体の首長から独立した形で存在します。原則として、教育長および地域の有識者4人の教育委員により構成され、教育行政における重要事項や基本方針を決定し、それに基づいて教育行政の専門家である「教育長」が具体の教育事務の執行に責任を負います。