文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)は8月、「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」と題する答申を出しました。若手教師へのサポートや子どもの抱える課題への対応などのため、中堅層を対象に「新たな職」を創設することが盛り込まれています。どのようなものになりそうか、教職員の制度に詳しい日本教育事務学会理事の野川孝三さんに予測してもらいました。
#教職員トピック解説
公立学校の事務職員として勤務した後に、組合活動に従事し、教育予算増額や教職員定数改善にとりくむ。分担執筆に『いまさら聞けない!日本の教育制度』、共著に『事務職員の職務が「従事する」から「つかさどる」へ』がある。
文部科学省は、中教審の答申を踏まえて、今後、教員の「新たな職」の具体的な制度設計を行います。国会審議を経てその内容が決定され、具体的に導入する際には、職員団体との協議も行われます。したがって、ここで記載するものは確定したものではなく、あくまでも、制度の予測ですので、変わる可能性もあります。
「新たな職」の名前は?
中教審は、現在、東京都で配置されている教諭と主幹教諭の間に位置づいている「主任教諭」を参考に「新たな職」の導入を提言しました。東京都は「主任教諭」ですが、名称は決定されているものではありません。「新たな職」が導入されたとしても、既存の主任制が廃止されるわけではないので、主任との混同を避けることから、学校教育法で規定する職名は「主任教諭」ではない可能性もあります。
必要な法改正は?
学校教育法、義務・高校標準法、市町村立学校職員給与負担法などが改正されます。法案提出時期は2025年の通常国会となる見込みです。施行日を2026年4月1日とし、実際に配置が可能となるのは、2026年度からと想定されます。なお、主幹教諭や指導教諭と同じように、新たな職も任命権者の教育委員会の任意設置となると考えられます。
「新たな職」の職務内容
中教審の答申から考察すると「新たな職」の職務は、……