学校の統廃合や小学校高学年の教科担任制の実施などもあって、全国的に増えつつある義務教育学校とはどういうものか、その設置の目的や仕組み等について解説します。

義務教育学校法律上の位置づけ

政府の教育再生実行会議の第5次提言や、文部科学大臣の諮問機関の中央教育審議会の答申を経て、2015年の通常国会で、9年間の義務教育を一貫して行う新たな学校の種類である「義務教育学校」の設置を可能とする改正学校教育法が成立し、2016年4月1日に施行されました。義務教育学校は、小学校、中学校、高校と同じように、学校教育法第1条に規定された学校種の一つです。

野川孝三(のがわ・こうぞう)
公立学校の事務職員として勤務した後に、組合活動に従事し、教育予算増額や教職員定数改善にとりくむ。分担執筆に『いまさら聞けない!日本の教育制度』、共著に『事務職員の職務が「従事する」から「つかさどる」へ』がある。

文部科学省は、制度改正によって、「小学校と中学校が別々の組織として設置されていたことに起因していた様々な実施上の課題が解消され、教育主体・教育活動・学校マネジメントの一貫性を確保した取り組みが容易になるなど、全ての教職員が義務教育9年間に責任を持って教育活動を行う小中一貫教育の取り組みを継続的・安定的に実施できる制度的基盤が整備された」と説明しています。