「義務教育は無償」とはいうものの、「学校徴収金」と呼ばれる私費負担が発生します。どのような費用が「学校徴収金」などの私費で賄われ、公費で賄われるものとはどこで分けられているのでしょうか。現行制度での課題や、その解決策と合わせて解説します。

樋口 修資(ひぐち・のぶもと)
明星大学名誉教授。専門は、教育行政、教育政策、学校経営、比較教育。1976 年に文部省(現文部科学省)入省、大臣官房審議官、スポーツ・青少年局長、放送大学学園理事などを歴任し、2009年度~2022年度に明星大学教授。独立行政法人教職員支援機構評議員、放送大学評価委員会委員、自治大学校研修講師、教職員の働き方改革推進プロジェクト代表なども務める。著書に「教育の制度と経営」(明星大学出版部)」、「頻出 教育法規キーワード90」(教育開発研究所)、「学校をブラックから解放する」(学事出版)、「支援スタッフで学校は変わるのか」(アドバンテージサーバー)、「教育の最新事情」(明星大学出版部)など。

義務教育は無償ではない?

義務教育の無償は憲法26条第2項に定められています。「無償」の範囲については議論がありますが、最高裁判例では「授業料の不徴収」を意味すると示されています。また、教科書は「教科書無償措置法」という法律により、無償とされています。明確に「無償」と定められているのは、この2点です。

しかし、義務教育には他にも様々な費用がかかります。