東京都教育委員会は、7月に実施した教員採用試験で、一部科目を大学3年生から受験できる「前倒し選考」の通過者が、前年度比1.4倍の2600人に上ったと発表した。通過率は同11ポイント増の83.0%だった。教員のなり手不足が深刻化するなか、都教委の担当者は「選考に一定のニーズがある」とみる。
都教委は2023年度実施の試験から、1次選考のうち「教職教養」「専門教養」を3年生でも受験できる選考を導入。通過者は、翌年は論文や面接など残りの試験のみを受ける。
都教委の採用試験は1次選考が7月で、例年、4年生は試験準備と教育実習が重なっていた。そこで、受験生の負担を軽くするため、一部科目の前倒しを導入した。
今年度の前倒し選考では、大学3年生や大学院1年生ら3133人が受験。通過者数は、小学校で1032人(通過率94.1%)、中高で1167人(同72.8%)、特別支援学校で107人(同96.4%)だった。通過できなかった受験生は来年、再受験できる。
教員採用試験の受験倍率は、全国的に低下傾向だ。23年度実施の都の教員採用選考でも、小中高、特別支援学校を合わせた倍率は1.6倍で、初めて2倍を切った。
志願者減に歯止めをかけるため、都教委は前倒し選考のほかにも、様々な取り組みをしている。特になり手不足が深刻な小学校については、今年度から、教員志望の大学生らに現場を1日体験してもらうプログラムを始める。昨年度は教員採用試験合格者を対象に実施したが、「実際の学校現場を見ることで、志望を固めてもらう」(担当者)ため、広く門戸を開いた。
=朝日新聞デジタル2024年08月13日掲載