給食費や教材費といった「学校徴収金」の管理・督促を、教員の業務から外している自治体は5割弱――。教員の長時間労働が問題となるなか、全国の自治体の働き方改革の進み具合を文部科学省が調べたところ、そんな結果が出た。文科省は徴収金関連の業務を教員の仕事から外すよう自治体に求めてきたが、改善は道半ばだ。

 同省が27日、全都道府県・市区町村教育委員会などを対象にした調査の結果を公表した。

 それによると、今年10月1日時点で「学校徴収金の徴収・管理は教師が関与しない方法で行っている」かを尋ねたところ「既に実施または実施中」と答えたのは45・3%。「実施に向け検討中」が32・0%で、「取り組んでいない、取り組む予定がない」は21・8%だった。

 また、「放課後から夜間の見回り、児童生徒が補導された時の対応は、学校以外の主体(教育委員会、地域人材など)が中心に対応している」かどうかを聞くと、「既に実施または実施中」としたのは29・5%で前年比3・7ポイント増にとどまった。

■6年前に「直ちに改善を」と中教審

 国は近年、教員を本来の業務である教育活動に専念させるため、それ以外の事務作業などは教員以外に担ってもらう方向で改革を進めてきた。学校徴収金の管理業務はそうした事務作業の中で特に負担が重く、2017年に文科相の諮問機関・中央教育審議会が教員の働き方改革の緊急提言で「教員の業務としないよう直ちに改善に努めること」と求めた。19年の中教審答申でも、放課後の見回りなどとともに「基本的には学校以外が担うべき業務」に分類されている。

 文科省の担当者は「先進的な取り組みもみられるなど地域によっては徐々に改善しているが、自治体間で取り組みに差もみられる。各自治体でしっかり働き方改革を進めてほしい」と話す。

=朝日新聞デジタル2023年12月27日掲載