学校は行政や地域、経済界などからさまざまな要請を受けるため、その業務は得てして膨らみやすく、スリム化するのは簡単ではありません。そんな学校現場の状況に、若手教員も声を上げ始めています。香川県の公立高校で教員生活4年目を終えようとしている兼島翼教諭(28)は、多くの教員がやむなく行っている時間外業務の「責任」を問題にしています。

兼島 翼(かねしま・つばさ) 大学院生の頃に友人の説明で教員の働き方改革について興味を持ち、学生団体「Teacher Aide」に所属した。その後、地元香川県の公立高校で働き始める。

働き始めて4年の私が感じていること

大学院を修了後、教員として働き始めて4年目になる。そして、担任業務の忙しさや新教育課程で大きく変わった授業の準備もあってか、4月の時間外勤務は100時間近くもあった。昨年度までは、どんなに多くても時間外勤務は60時間程度であったし、定期考査で部活動が休みになる期間や夏休みなどの長期休業日、年度末の時期などに年休もある程度は消化することができていた。ある程度余裕をもって勤務をしていたつもりであったが、年度当初の忙しい時期を考慮したとしても、100時間近い時間外勤務は非常にこたえた。

今までは勤務を終えれば、趣味を楽しむ時間があったのだが、4月はそのような余裕はなかった。家に帰れば疲れてすぐに寝て、そしてまた起きて学校へ行く、そういう毎日だった。体力的にはまだまだ余裕があったが、趣味や自分の時間を犠牲にして、何とかなっていたのである。実際、このような生活を何年も続けている先生方は非常に多いと思う。特にご家庭がある先生は、より切羽詰まった毎日を過ごしているのではないだろうか。

このような時間外勤務は、「自発的に」行っているものなのだろうか。日々の授業をより良くするために、学校運営に携われるように、との思いでとりくんできた日常の業務ではあるが、そのどれもが「そうしなければならない」からやっているのか、あるいは「自分がやりたいから」やっているのかの判断がつかなくなってきた。自発的でも、強制的でもない状態――半自発・半強制――に陥ってしまっているのだ。