強いストレスを感じたとき、自分の視野が狭くなっていると感じたり、手軽な解決策に思わず飛びついてしまったりすることって、ありませんか。認知行動療法では、そんな気持ちを解きほぐし、自分にとって望ましい考え方や行動を引き出します。6月29日の無料ウェビナー「職員室のコミュニケーションにも生かせる認知行動療法とは?」で講師を務めていただく小関俊祐・桜美林大学リベラルアーツ学群准教授に、認知行動療法の概要を寄稿していただきました。

【無料ウェビナー】職員室のコミュニケーションにも生かせる認知行動療法とは?

小関 俊祐さん(こせき・しゅんすけ 桜美林大学リベラルアーツ学群准教授)
公認心理師、臨床心理士、認知行動療法スーパーバイザー、指導健康心理士、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント🄬実践士。日本認知・行動療法学会理事および企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事および教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事および研究委員長等を務める。近著に「子どもと一緒に取り組む園生活での子どものストレス対処法」(中央法規)、「事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス」(金剛出版)など。

認知行動療法って?

すべての人は、さまざまな行動をし続け、さまざまなことを考えて生活しています。呼吸をしたり、立ったり座ったり、寝ることも行動に含まれます。暑いな、おなか空いたな、明日は何をしようかな、と考えながら生きています。このように、行動したり考えたりすることは、ごく当たり前の、自然なことですが、この行動や考えること(認知)が、ときどき生活の邪魔をします。

たとえば、「授業がうまくできなかったらどうしよう」と考えて学校へ出勤するのをやめてしまったり、「うまく意図を伝えられないかも」と考えて、同僚に相談することを避けてしまったりすることがあるかもしれません。このような、自分にとってあまり望ましくない行動や考え(認知)の働きに気づいて、自分にとって望ましい行動や考え(認知)を獲得したり、引き出したりできるようにするための方法が認知行動療法です。

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「うまくいかない=学習の問題」と捉えてみる

認知行動療法では、いい行動もよくない行動も、どちらも「学習(learning)」によって獲得および維持していると考えます。「この問題わかる人?」と声をかけても手が上がらなければ、この呼びかけ方では児童生徒の発言を喚起できない、と学習します。