スーパーで作ったほかほかのお弁当をドローンに積み、生徒が待つ近くの高校へ――。そんな「空路」での食品配送の実証実験が15日、茨城県笠間市内で行われた。

 スーパー大手のイオンリテール(本社・千葉市)の試み。お店に行かなくても買い物ができるネットスーパーの新たな配送手段として実用化を目指している。

 15日は、イオン笠間店(笠間市赤坂)で5人分の弁当や飲み物を載せたドローンが午後0時40分ごろに屋上から飛び立った。涸沼(ひぬま)川の上空を自動航行し、約4分後に1・63キロ先の県立笠間高校(同市笠間)に到着した。「ブーン」という音を立てながら校舎を越えて広場にゆっくり着地すると、生徒から歓声が上がった。

 同校にはカップ麺やおにぎりが買える売店はあるが、食堂はないという。カツ弁当を受け取ったメディア芸術科1年の清水玲心(れん)さん(16)は「食品がドローンで運ばれてくるのは初めて見た。お弁当も温かい」と喜びながらほおばった。普通科2年の小野瀬日和さん(16)も「空を飛んできたお弁当はよりおいしく感じます」と笑顔だった。

 配送ドライバー不足はネットスーパー業界でも課題だ。イオンリテールEC本部の藤岡慶太本部長は「店舗から配達先までの『ラストワンマイル』が課題。今回得たデータを活用して実際の運用につなげたい」と話した。

=朝日新聞デジタル2024年02月20日掲載