友だちと、人さし指を差し出し合ってくっつける「E.T.」ごっこをしたことはありませんか? 指先から光が出ているように見える映画のポスターの様子を、静電気の力を使って再現した高校生がいます。長野県屋代高校(長野県千曲市)の女子生徒2人です。中学3年生の時から2年近くかけたユニークな研究は、全国の中高生を対象にした探究成果の博覧会「自由すぎる研究EXPO2023」で、「朝日新聞 寺子屋朝日賞」と「モルおじさん賞 研究大賞」を受賞しました。
【無料ウェビナー】「探究」に必要なことって? 受賞生徒と教員が実践を本音で語る
「ET 静電気の放電による光の発生」に取り組んだのは、同校2年の小川ひなさん(17)と玉井夏佳(なつか)さん(17)。同校附属中学校からの友人だ。中学2年の冬、校舎前の地面の人工芝を留めている金具に小川さんの手が触れ、パチッと静電気を感じた。たまたま通りかかった理科の先生に伝えると、「じゃあ小川さんはいま帯電しているね」と言われ、そばにいた玉井さんにも帯電させてみようとふざけて追いかけっこになった。
「もし静電気で指と指の間に青白い光が出たらETだね」。中3で週1回、自由なテーマを研究する「科学リテラシー」のテーマはこうして自然に決まった。
まずは人を介して静電気が移動するかを確かめる実験から始めた。1人が塩化ビニールの管を毛皮でこすって静電気を起こし、もう1人は静電気を起こしている人の手首に片手で触れながら、もう片方の手を「箔検電器(はくけんでんき)」に触れたり離したりした。箔検電器とは、ガラス瓶につるした2枚の金属箔が開くことで帯電していることがわかる機器だ。管をこするタイミングでアルミ箔が開き、人を介して静電気が移動することが確かめられた。
実験はいつも長丁場に
次は、放電の際に光が発生するか確認する実験だ。アルミ箔を外側に貼ったコップを二つ重ねるなどした「ライデン瓶」に、毛皮でこすって帯電させた塩化ビニール管を接触させる。この作業を5回、10回と繰り返して瓶に電気を蓄え、ハサミを瓶に近づけてみた。5回の時には光は出なかったが、10回接触させた時には青白い光が発生し、20回、30回の時も同様に光の発生を確認できた。