小学生の保護者向け教育メディア「おうち教材の森」を運営するARINA(アリナ)株式会社は2023年6月、全国の中学生以下の子どもを持つ保護者を対象にしたアンケート「これからのAI時代を生き残るために子どもに身につけさせたいことは?」の調査結果を発表しました。調査は5月20日にインターネットで実施し、200人(10代1人、20代37人、30代90人、40代51人、50代14人、60代以上7人)から回答を集めたそうです。回答結果のランキング上位7位から紹介します。

7位 行動力(13人)

7位には「行動力」(13人)が選ばれました。今はネット上に様々な情報が散乱している状態ですが、政府の描く「Society5.0」では、AI(人工知能)によって個々に適した情報が届けられる社会になるとされています。とはいえ、昔から「百聞は一見にしかず」というように自らの目で見て確かめることは大切です。知識として知ったことと、実際に体験することの差は、AIが普及した社会でも変わらないのではないでしょうか。アンケートには「今後、AI技術のさらなる発展や新たなAIサービスの登場が予想され、ビジネスでもプライベートでもChatGPTのような最新技術の活用が求められるようになると思うので、自ら積極的に情報収集して活用方法を学ぶ行動力を身につける必要があると考えられるから」などの声が寄せられていました。

6位 チャレンジ精神(14人)

6位には「チャレンジ精神」(14人)が入りました。デジタル化が進み、社会がめまぐるしく変わっているように感じますが、AI技術が広がっていくことで、さらにその動きは加速していくとも言われています。かつてのような「前例踏襲」が通じない社会の中で求められているのは、新しいことを切り開き、失敗しても諦めないチャレンジ精神かも知れません。

生成AIのイメージ

5位 主体性(16人)

5位は「主体性」(16人)でした。これは6位の「チャレンジ精神」と近い回答かも知れません。AIの進歩により、今ある仕事の多くが失われるという予測があります。そんな中で「自分で仕事を作って生きていってほしいから」(回答結果から)など、自ら仕事を生みだす大人になってほしいという期待が寄せられているようです。

3位 思考力/創造力(31人)

3位には同数で思考力と創造力が選ばれました(31人)。思考力が選ばれた理由には「AIに頼るのではなく、手段として活用できる思考力が大切だと思うから」「フェイクニュースなどにだまされないよう、常識的に思考して判断できるようになってほしいから」などの声が寄せられたそうです。寺子屋朝日が2023年5月に実施したデジタル・シティズンシップ教育をテーマにしたウェビナーでは、インターネット上では利用者の趣味や嗜好を反映した情報が表示される「フィルターバブル」の中に陥ってしまうという話が紹介されていました。情報に簡単に触れられる社会だからこそ、その情報の正誤を見極める力が求められているとも言えます。一方で「創造力」の回答からは、「AIさえも人間が作り出したものなので、人の創造こそが計り知れないパワーを持っていると思っているから」など、人間の可能性に期待する声が寄せられたようです。創造力豊かな人間がAIを活用することで、想像を超える世界がつくられていくのかも知れないですね。

2位 コミュニケーション能力(40人)

2位は「コミュニケーション能力」(40人)でした。「ぬくもりのあるコミュニケーションはAIには出来ないと思うから」などの声が寄せられていました。私も、どれだけAIが広がっても人と人の交流が無くなることはないと思います。そして、この先の社会でも対人関係を円滑に進める上でコミュニケーション能力は欠かせない能力になるはずです。一方で、AIのコミュニケーション能力も飛躍的に向上していると感じています。私の娘は小学生と幼稚園児ですが、毎朝のように「アレクサ」に話しかけています。私が使う時は天気のことばかり聞いてしまいますが、子どもたちは「なぞなぞを出して」や「面白いことを言って」など、まるで人と会話しているかのように使っていて驚かされることも。人とのコミュニケーション能力を高めるためにAIで練習する、という日も近いかも知れません。

1位 プログラミング(52人)

1位に選ばれたのは「プログラミング」(52人)でした。「プログラミングの知識があれば、どんな会社でも必要とされると思うから」「プログラミングをこなすことができればAIの知識にもついていけそうだから」など、就職を見据えた意見が寄せられたようです。学校でプログラミング教育が必修となったことも、そうした意識を強めているのかも知れません。私が子どもの頃には聞かなかった「プログラミング教室」も今では習い事として広く浸透しています。つい先日も娘たちと家電量販店を訪ねた時に、おもちゃコーナーに「プログラミングが学べる」と書かれた商品がいくつもあり、驚かされました。いつの日か「お父さんこんなことも分からないの?」と娘にがっかりされないよう、私もしっかりと勉強したいと思います。

今回のランキング紹介は以上です。生成AIの「ChatGPT(チャットGPT)」が話題となり、学校現場でもその利用を巡って、多くの議論が交わされています。子どもたちにどのようにAIを使わせるのか、AIが普及した世界に向けて子どもたちにどんなことを学ばせるのか。悩む場面も多いと思いますが、今回のランキングがその参考になればうれしいです。