子どもの暴力行為が増えています。特に低学年での増加が顕著になのが近年の傾向だといいます。白梅学園大学教授の増田修治さんによると、授業が成り立たないほど激しく荒れることもあれば、表面上は「良い子たち」に見えるような「静かな荒れ」として表れるケースもあります。現状について、増田さんに概説していただきました。

増田 修治(ますだ しゅうじ)
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。小学校教諭として28年間勤務し、2008年より現職。小学校教諭を目指す学生の指導とともに、東京都板橋区の保育園と12年間共同で、感覚統合や体幹と子どもの発達の関係性について研究。専門は臨床教育学、教師教育論、教育実践論、学級経営論。川越市幼保小連携協議会のアドバイザー兼協議会会長として、幼保小の連携についても研究している。1998年度と2019年度の学級状況調査を比較した報告書「『学級がうまく機能しない状況』(いわゆる『学級崩壊』)の実態調査と克服すべき課題」が話題となり、各メディアで「静かな荒れ」と報じられる。

子どもの問題行動は、最近とみに顕著な傾向を表すようになりました。文部科学省が2023年10月に発表した「令和4年度(2022年度) 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、暴力行為が激増し、過去最多となったことがわかりました。また登校拒否・不登校も過去最多となりました。

231120 図表1

調査結果のうち、「暴力行為の件数」を、調査を始めた2006年度と2022年度で比較すると、小1が53.5倍、小2が32.4倍、小3が24.1倍となっており、低学年の暴力行為の激増をみてとることができます。また、驚くべきことに、2006年度には小6の暴力行為は小1の13.9倍だったものが、2022年度では1.14倍となっており、両学年の暴力行為の件数は並び始めているのです。

【無料ウェビナー】子どもの問題行動に対して教職員としてどう向き合うか

特に注目すべきなのが、2020年度の暴力件数です。