不登校の経験者や当事者による動画の選手権を開催します、との知らせを8月半ば、旧知のNPO法人全国不登校新聞社の代表理事、石井しこうさん(41)からいただいた。夏休み明けに学校に行くのがつらくなり、不安に押しつぶされそうになる子どもたちのために何かしたい、と企画したという。その名も「第1回不登校生動画選手権」。優秀賞などの受賞者の表彰式が8月18日、東京都内で開かれた。

SNSの「Tik Tok」が共催する選手権の応募資格は、20歳未満で不登校を1日でも経験した個人またはグループ。「学校へ行きたくない私から 学校に行きたくない君へ」のテーマに沿っていれば、自ら思いを語る、絵を描く、風景の映像を流すなど、表現方法は自由だ。1分以内にまとめて「Tik Tok」に投稿する。応募期間の7月中に352作品が寄せられ、訴求力、演出力、創造性の3点を審査基準にして賞を決めたという。

審査員長は中川翔子さん

会場は、東京都現代美術館(江東区)地下のホール。ネオンサインをイメージしたような洗練された「不登校生動画選手権」のロゴマークが目を引く。受賞者や家族のほかメディア関係者も多数詰めかけ、座席はほぼ満席だった。石井さんのほか、審査員長を務めた歌手・タレントの中川翔子さんらが壇上に登場して式が始まり、優秀賞などの受賞作品11本が1本ずつ、大型スクリーンで披露された。

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審査員長の中川翔子さん(左から2人目)らと記念撮影する最優秀賞の「学びスペース あうるの森」のメンバー。左から3人目がひなたさん=2023年8月18日、東京都江東区

眠森樹さん(アカウント名、以下も同じ)の作品は、母へのインタビューの場面を収めた。母が食事の支度をしているところに「俺が不登校で良かったことある?」と問いかけ、「不登校のこと、一緒に考えられるようになったこと。一緒に悩んで、一緒に学んで、私なりに調べて。それが私の引き出しにいっぱい情報が増えて……」と答える母の顔にはユーモラスな加工が施されていた。壇上で紹介された眠森さんは「悩んでいる保護者に伝えられないかなと思って作りました」。

眠森樹さんの作品(アッタナラ賞)