教育現場に長時間労働などの働きにくさを生み出してしまう教員を、沖縄県内の公立小学校に勤務する城間碩也先生(25)は、「教員ジャンキー」と強い言葉で呼んでいます。貴重なはずのプライベートな時間をも割き、「子どものため」という大義によって自らを鼓舞して仕事へ没入する様子を表現したそうです。そうならないために自身はどんなふうにもがき、考えているのでしょうか。

城間 碩也(しろま・せきや)
1997年、沖縄県那覇市生まれ。琉球大学教育学部卒。大学4年次に、琉球大学教授・長谷川裕、名古屋大学教授・内田良、琉球新報、現役の教諭らの協力を得て、「教員の『魅力』を考えるシンポジウム」を主催する。20年から臨時的任用教員として沖縄県内の小学校に勤務。22年から本採用として現職。

学生時代の取り組み

教員を目指す琉球大学教育学部の学生が、教員の働き方について考えるシンポジウムを5月18日に同大で開催する。学生らは教員の長時間労働に疑問を抱きながらも「大学では働き方に関する講義が少ない」と疑問を持ち、自ら考える機会を創出することを決意した。2019年4月27日付 琉球新報

学⽣時代、SNSで教員の長時間労働や全国学力テストなどに関する嘆きを目にする一方、教育学部共通(専攻問わず全員が受ける)の講義に、教員の働き方や階層に関するものがほとんどないことに疑問を感じていた。そこで私は、卒業論⽂のテーマを「なぜ教員は⻑時間労働をするのか」に設定し、さまざまな⽂献を読み、公⽴⼩学校で参与観察を⾏った。その過程で、教職員の精神疾患による休職率は沖縄県が全国ワースト 1 であることを知った(22年9月26日付琉球新報)。現在もこの状況は悪化している。

精神疾患による病気休職者の推移(教育職員)(過去5年間)

そのような環境で働くことを恐れた私は、⼤学3年⽣から民間企業への就職活動を始めた。しかし、特にやりたいこともなく、就職活動に⾝が⼊らなかった。「自分は悪くないのに何で教員を諦めなければならないのだろうか」と教員を断念するのではなく、教員の働き方を変えることはできないだろうかという思いに至った。