埼玉県立幸手桜高校(埼玉県幸手市)で、防災をテーマにした計6コマの連続授業がありました。いつもと違うのは、企画・運営したのが6人の生徒だったことです。きっかけとなったのは、朝日新聞社の「先生のための勉強会」の連続講座。社会科教諭の牛久保聡さん(62)は、少人数制で1年かけて授業案を研究・開発する講座を2年連続で受講。講座での学びをもとに、生徒の主体性を生かす授業を実施しました。

6コマを考案、実践講座も

5限、6限の「総合的な探究の時間」。幸手桜高校の3年生約120名が集まる柔道場で、生徒たちの前に立ったのは先生ではなく、6人の生徒たちだった。生徒たちを後ろから見守っていた牛久保さんはこう語る。

「生徒の主体性をどうしたら出せるだろうかと考えて、『先生のための勉強会』で生徒が企画・運営する授業を提案してみたんです。『いいね。ぜひやってみよう』という反応だったので、2学期の総合的な探究の時間を使って実施することにしました。こちらが一方的に教える講義ではなくて、生徒がつくっていくことを重視しました。探究なので」

授業の企画・運営を担当したのは選択科目「日本文化史」を受講する6人。10〜11月にかけて、2コマ連続を3回、計6コマを使って行われることになった。準備が始まったのは夏休み明けの9月。牛久保さんは幸手桜高校が防災拠点に指定されていることに触れ、「災害が起きたら、ここには市民のみなさんが避難してくる。そのときは君たちが手助けをするんだ。何ができるか、今から考えていこう」と生徒たちへ動機付けをした。

1回目の授業では、クロスロードゲームを実施した。深夜に豪雨で洪水の危険がある場合、避難をするかどうかなど、災害対応に関する質問に「はい」か「いいえ」で回答。理由も添えながらお互いの意見を交換した。

2回目の授業では、……