豊田大谷高等学校(愛知県豊田市)の2年生が「総合的な探究の時間」のまとめ作業を進めている。八つのゼミのテーマは、地域活動への参加から、平和への取り組み、地域の課題解決まで様々。目標は2025年3月、同市で開催される第8回「WE LOVE とよたフェスタ」での成果発表だ。
2年次は教室を出てフィールドワーク
同校は真宗大谷派(東本願寺)の関係学校で、各学年とも週1回「宗教」の時間がある。本格的に「総合的な探究」活動に取り組み始めたのは2023年度から。今の2年生(247人、7クラス)が、カリキュラムに沿って活動する最初の生徒にあたる。
1年次の探究授業の目標は「聞法(もんぽう)~自分を知る~」。「聞法」は仏教用語で、「仏教の教えを聴聞する」といった意味だ。ホームルームの時間に、テキストを使った座学で、地域課題を探り、自分たちがどんな社会貢献ができるかを考えた。
そして、2年次が教室を出ての実践編になる。目標は「出逢い~動く~」。八つのゼミで目指す活動・課題を設定した(表参照)。生徒は4月から5月にかけて、自分が希望するゼミを選び、各ゼミ30人前後で6月からフィールドワークに取り組んでいる。
12月初めには修学旅行で沖縄を訪れた。「平和学習」を探究活動の重要な一環と位置付け、班に分かれてひめゆりの塔(糸満市)や沖縄県平和祈念資料館(同)、旧海軍司令部壕(豊見城市)などを見学した。
残り野菜をどう活用する?
八つのゼミの取り組み方法は様々だ。1年通して一つのテーマに取り組むゼミもあれば、前後期で活動を分けるゼミもある。
「寺とコミュニティ」ゼミが前期取り組んだのは、同市にある守綱寺*(しゅこうじ)での活動に参加すること。同寺が子どもたちに読み聞かせなどを行っている「寺っこクラブ」に企画を提案した。
守綱寺……江戸時代この地域を治めた、旧寺部(てらべ)領主渡辺家の菩提寺。徳川家康に仕えた「徳川十六将」の一人で、槍の名手といわれた渡辺守綱(もりつな)に由来する。
ゼミの話し合いで、まず「野菜をスタンプにして、子どもたちと掛け軸を作ろう」という案が出た。次に考えたのは、残った野菜を無駄にしないためにどうすればいいか。カレーを作って食べれば野菜が無駄にならないという案が出て、「野菜スタンプ+カレー」で、地域活動への参加とフードロス対策の二つが結びついた。
8月25日当日は約10人で参加し、料理は初めてという男子生徒も包丁を握った。野菜スタンプを提案した佐橋柚宇子さんは「最初はスタンプ案だけだったが、うまくカレー作りと結びつきました。初対面の親子と話すのは緊張したけど、楽しかった」と話した。
「失敗」も貴重な体験に
「ウェルビーイング」(身体、精神、社会的に健康な状態)のゼミが前期取り組んだのは……