学校が教育課程を編成する基準となる現行の学習指導要領は、2020年度の小学校から順次実施が進み、今年度で高校の全学年にまで行き渡りました。早くも今秋には、改訂に向けた文部科学省での議論が始まる見通しです。そもそも教育課程の編成のあり方について、海外の動向はどのようになっているのでしょうか。日本の目指すべきすがたとともに、国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部の西野真由美・総括研究官に聞きました。
21世紀に入って学校教育改革に大きな影響を与えてきたのはOECDの調査や提言です。それまでの学校教育は知識や技能を中心に教えてきたのですが、その内容が社会に出てから本当に役に立つものになっているか、という視点で学校教育を見直した上での提案でした。育てないといけないのは社会の中で生きて働く力であり、その力のことをOECDは「コンピテンシー」(資質・能力)と呼んだのです。
OECDによって提起されたコンピテンシーを重視する教育改革は、世界の学校教育に広がりました。この流れを受け、文部科学省は、教科ごとに学習する内容を示した従来の学習指導要領について、子どもたちがその教科を学ぶことで、どういう力が身につくように育てるのかという視点で見直しました。それでできたのが……