エンタメ情報Webマガジン「TVマガ」を運営する「WonderSpace」は2023年7月、マンガの登場人物の姿勢や発言などに影響を受けた人を対象にしたアンケート「人生の教科書になったと思える”学べる”漫画」のランキングを発表しました。調査は6月20日~24日にインターネットや同社の公式Twitterアカウントなどで実施し、10代~50代の300人から回答を得たそうです。上位はいずれも社会現象を巻き起こしたものばかり。そんな人気マンガの魅力をランキングに基づいて紹介します。

5位 鬼滅の刃/ドラゴン桜

同率で5位に選ばれたのは「鬼滅の刃」と「ドラゴン桜」でした。鬼滅の刃は今春、全国フジテレビ系列で「刀鍛冶(かたなかじ)の里編」をアニメで放送。主人公が過ごしていた温泉地が山形県尾花沢市の銀山温泉がモデルなのではないかと話題になり、地元の観光協会には問い合わせが相次いだそうです。

主人公は実直な性格の持ち主・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)。鬼になった妹を救うべく「鬼殺隊」に加わり、各地で人を襲う鬼と戦っていきます。敵味方問わず、登場人物の心理描写が魅力的に描かれており、読み進めながら思わず涙してしまうことも。今回の調査でも「社会的な生き辛さ、人間の抱える劣等感や理不尽な状況を描きつつも、その中でも強く生きていくことの必要性を教えてくれました」などの声がアンケートに寄せられていたようです。

一方で同率で5位になったドラゴン桜は、現実路線に主軸を置いた受験マンガ。マンガ雑誌「モーニング」で2003年から2007年まで連載されました。ストーリーは、経営破綻に陥った私立高校の改善を任された弁護士の桜木健二が、進学実績を伸ばすことで経営改善につなげようと、生徒たちと東大進学を目指すという内容です。マンガの中で紹介された勉強法が話題を呼び、様々な関連書籍も出版されています。東大側が「ドラゴン桜」の人気ぶりを踏まえ、大学周辺や駅に貼り出す大学ガイドブックの宣伝ポスターに「ドラゴン桜」を起用したことで、現実とマンガがコラボする展開に当時は胸が躍りました。アンケートには「受験生の時に読んだのですが、人生の目的は何か、それを達成するための勉強の仕方や、勉強に対する意識を教えてもらいました。大人になった今でも考えさせられる漫画だと思います」などの声が寄せられていました。テレビドラマ化もされ、放送当時に学生だった私は、桜木役を務めた阿部寛さんのモノマネ「東大に行け!」を何度か練習した記憶があります。

4位 NARUTO -ナルト-

4位に選ばれたのは、超人的な忍び同士のアクションマンガ「NARUTO -ナルト-」です。1999年~2014年に週刊少年ジャンプで連載されたNARUTOは、「落ちこぼれ忍者」だった主人公の「うずまきナルト」が様々な師や友と出会いながら、強くなっていく物語。厳しい修行を乗り越えて新しい技を獲得するナルトの姿に、励まされた人も多いはず。海外でも人気の高いマンガで、将棋のカロリーナ・フォルタン女流初段(ポーランド出身)は、16歳の頃にマンガ「NARUTO」の登場人物が将棋を指しているのを見て将棋に関心を持った、というエピソードが朝日新聞で紹介されていました。アンケートには「作品を通して仲間の大切さと自分の中にまっすぐとした信念を持つことの大切さを学びました。また、正義の反対は悪ではなくもう一つの正義であることにも気づかされました」という声が寄せられていました。

3位 コウノドリ

3位には、周産期医療を描いた「コウノドリ」が選ばれました。ストーリーは、実際に医療現場で働く医師の話を基に構成されているそうで、私も当時、産婦人科医に取材をしていた際に「コウノドリ読んでる?あれ、すごいリアルだよ」という話を聞かされたことが記憶に残っています。未受診妊婦や風疹、梅毒など、現実世界でもニュースで報道される医療現場の話題が、マンガでは医師の目線から紹介されていきます。医療系のマンガでは最後に患者が助かるストーリーも多いですが、コウノドリの場合は失われていく命も丁寧に描かれています。「結婚したら当たり前に子どもが出来て元気な子を問題なく出産できる、という固定観念が崩されました。妊娠できること、出産できることがいかに奇跡の連続か、学びました。自分の命や人の命を大切にして、改めて家族に感謝しようと学べます」などの声が寄せられていました。

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