1人1台端末のChromebookをはじめとするICT(情報通信技術)を活用し、生徒がワクワクして「主体的・対話的で深い学び」を体験できるような授業作りに取り組んでいる先生が、私立中高一貫校、麗澤(れいたく)中学・高等学校(千葉県柏市)にいます。英語を担当する松田万里阿先生です。オンラインアプリを取り入れ、それを利用しながらグループで話し合った結果を基に英語でプレゼンテーションを行う、という授業を考案しました。中学1年生を対象にしたその内容を紹介します。登録会員のみなさまは、指導案をダウンロードいただけます。

正解のない英語の授業

「日本語と英語の構造は、どんなところが違うだろう」。松田先生の呼びかけに、5~6人のグループに分かれた生徒たちはブレーンストーミングを始めた。おのおのが操作する端末の画面には、オンラインアプリで共同作成中の図が見える。

「言語」という言葉を中心に、「主語の重要性」「文化による違い」「語順」など線で結ばれた別の言葉が木の枝のように広がり、それらがさらに別の言葉につながっている。思考の過程を可視化していく「マインドマップ」だ。この図がグループごとに行うプレゼンテーションの骨格となる。

マインドマップ作成の画面
生徒がアプリを活用してマインドマップを作成する様子=2022年2月、麗澤中学・高校提供

松田先生は、同じ学習アプリを使い続けて生徒が飽きてしまわないよう、絶えず新しいアプリを探し続けている。その中で発見したのが、マインドマップを作成するのに便利なBubble.us(バブルアス)というオンラインアプリだった。マインドマップは元々、同校の社会科の授業で自分の考えをまとめる手段として使い、生徒も親しんでいたが、これまでは紙に書いて作っていた。オンライン上のアプリでの作業に、多くの生徒が興味津々の様子だったという。

あるグループは、英語と日本語の「文化による違い」について意見を出し合い、日本語は「周囲との協調を大切にする」「Yes,Noをはっきり言わない」、英語は「気持ちをはっきりと言葉に出す」「Yes,Noをはっきりと言う」との評価で一致した。正解が決まっているわけではなく、キーワードの選択や図の形にも制約はない。マインドマップに並ぶ言葉や形は、グループごとに異なるものになる。