SUGOI部屋に入ると、前方の左右いっぱいまで広がる巨大なスクリーンと、それを支えるアルミのフレームが目に飛び込んでくる。その幅約7.7㍍、高さはスクリーンが約2.3㍍、フレームは約2.7㍍と天井に迫る。フレームの上方からつったプロジェクター2台は、2種類の異なる画像も横長の画像も投影できる。教室の子どもたちの様子を伝えるマイク、カメラとスピーカーが一体になった機器も取り付けられ、オンラインで外部とつながる活動も円滑に進められる。
デジタルとアナログの融合
スクリーンはホワイトボードを兼ねる。反射を抑え、光を吸収する機能が求められるスクリーンに対し、ホワイトボードは水性マーカーで書いたものが簡単に消せないといけない。両方を満たすものを探り、ホーロー加工した素材を使った。後ろには鉄板が貼られ、マグネットで模造紙なども貼れる。「デジタルとアナログの融合です」。構造物をセットで手掛けた内田洋行学びのコンテンツ&プロダクト企画部の青木栄太部長は言う。
画面の切り替えは、リモコンを操作しなくても先生の端末からできる。リアルサイズプレゼンターというソフトを使うと、水族館で撮ったサメの映像を実物大で示すといったことも可能だ。「普通教室では体験できない学習活動を可能にしたい」と青木さん。
もっとも、同社が「フューチャークラスルーム」の名で打ち出している事例には、全身が映るスクリーンを備えた教室などさらにグレードが高いものもある。全国どこの公立学校でも採り入れられるよう、コストを抑えながらデジタル時代にふさわしい教室のモデルとして示したのがSUGOI部屋だ。フレームの大きさは教室に合わせて変えられ、校舎の改築をしなくても従来のパソコン教室に代わるものとして導入できるよう考えた。
それでも、竹早小の子たちが「すごい部屋」と呼んだ語感を生かし、「Smart」(洗練され)、「Unlimited」(制約を受けず)、「Growing」(成長)、「Open Innovation」(異分野が持つ技術やノウハウ、知識を組み合わせた革新的な)の意味を込めた造語にした。
大きく、はっきり見えるからこそ
大きな画面のメリットは現場教員も実感している。「問題意識を持ってもらう活動がやりやすい」と言うのは2年生の担任の幸阪創平・主任教諭だ。国語の授業である文章を読み、端末に打ち込んだ感想の単語を映し出した時のこと。「大きく表示されて文字がはっきり見えるので、自分と他の人の感想を見比べて互いのずれを感じながら読み進めることができた」と利点を語る。