校長室の一角に、インターネットで見つけたというイラストが貼られていた。
紙には「Equality(平等)」と「Equity(公平)」の文字。それぞれに自転車にまたがる4人の姿が描かれていた。
「Equality」の横には同じ自転車が並ぶが、快適そうにまたがるのは1人だけ。車いすの人は乗れず、大きい人はかがむようにしてまたがり、小さい人も自転車にはまたがっているがサドルに腰が届いていない。
一方で「Equity」と書かれた文字の横に描かれたイラストは、それぞれの体の特性に合わせて自転車の機能や大きさが異なり、全員が快適にまたがっている。

「学校現場では平等が重視されがちだが、こういう考え方が大事だと思う」。東京都目黒区にある都立桜修館中等教育学校の石崎規生校長は言う。

石崎規生(いしざき・のりお)
1964年4月22日生まれ。全国高等学校長協会会長。1988年から東京都の高校数学科教員に着任。2005年4月に開校した都立初の中高一貫校「白鷗高校・付属中学校」の設立に携わる。08年に両国高校・付属中学校の副校長に就任。13年に東京都立総合工科高校長に就任。昨年春から桜修館中等教育学校長。趣味はプロアメリカンフットボールリーグ「NFL」のTV観戦

高校生の頃は、論理的に組み立てられていく数学の魅力にひかれ、大学でも数学を専攻した。研究者の道も頭には浮かんだが、教壇に立って生徒たちから「分かった!」と、いってもらえる方が自分には合っていたという。