スマートフォンユーザー向けアプリ情報メディア「Appliv(アプリヴ)」を運営する「ナイル株式会社」(東京都品川区)は2023年9月、夏休みに宿題のあった学生を対象に実施した生成AI(人工知能)の活用についてのアンケートの結果(https://app-liv.jp/articles/145179/)を公表しました。調査は23年8月24日~30日にインターネットで行い、15~19歳の388人と、20~29歳の145人から回答を集めたそうです。今回は調査内容から「生成AIを活用した宿題はどれですか?」という設問への回答結果をランキング形式で紹介します。
5位 外国語の翻訳や文法確認(41人)
5位は「外国語の翻訳や文法確認」(41人)でした。精度が高いと話題になったドイツ発の翻訳サービス「DeepL(ディープエル)」は2020年から日本語に対応。すでに日本のサービス利用者は、ドイツに次いで世界2位になっているそうです。私も7年ほど前、海外出張に行く前に別のツールを使って取材先が発行していた50ページほどの冊子を翻訳して読んだ経験があります。当時は「違和感はあるけど意味は分かる」という程度の日本語だったように記憶しています。ところが、今のディープエルでは英語が得意な人が「もっと他に良い言い回しが無いか」など、自分が翻訳した文章の違和感を見つけたり、文法の確認に使ったりしているそうです。たった数年ですが、技術の進歩には目を見張ります。
4位 特定の分野に関する調査・分析(46人)
4位は「特定の分野に関する調査・分析」(46人)でした。生成AIは自らの足で調査を行うことが出来ないため、ここでの「調査」はネット情報の収集ということになるかと思います。米国の人工知能研究所「オープンAI」が開発したChatGPT(チャットGPT)が2022年11月に公開された際は、多くの人が試したはず。ですが、チャットGPTは調査対象となるデータが2021年9月までに限定されているため、ニュースの話題や新しい言葉を入れると「私の知識は2021年9月までの・・・」という回答が返ってきて、がっかりした経験をお持ちの方も多いはず。逆にデータが多い過去の話題に関しては強いので、使い方次第では、調査・分析の時間は大幅に圧縮されるかも知れません。
3位 読書感想文の作成(48人)
3位に入ったのは、「読書感想文の作成」(48人)でした。文部科学省が23年7月に公表したガイドラインでは、「AIの利⽤を想定していないコンクールの作品やレポートなどについて、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物として応募・提出することは評価基準や応募規約によっては不適切⼜は不正な⾏為に当たること、活動を通じた学びが得られず、⾃分のためにならないこと等について⼗分に指導する(保護者に対しても、⽣成AIの不適切な使⽤が⾏われないよう周知し理解を得ることが必要)」(初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインから引用)と記載されています。先日、このコラムで紹介した「夏休みの宿題で最後まで残りがちな宿題」の1位も「読書感想文」でした。「苦手な分野をAIに任せる」というと聞こえは良いのですが、やはり感想文は子どもが思ったそのままの気持ちを書いてほしいですよね。