東京学芸大学などの「未来の学校みんなで創(つく)ろう。PROJECT」がまとめた学校改革の提言を基に、ありたい学校の姿を先生たちがオンラインで話し合い、より豊かな「提言ver.2」をつくっていく。寺子屋朝日for Teachersが5月に始めた「ともに考える 私たちの学校プロジェクト」は、8月21日で4回目を迎え、いよいよ佳境です。ファシリテーターを務めていただいている「寺子屋朝日アンバサダー」のリレーコラムは今回、箕面自由学園中学校(大阪府豊中市)教諭の安田誠さんです。

安田 誠さん(やすだ・まこと、箕面自由学園中学校教諭)
1978年、東京都生まれ。福岡市で育ち、大学から大阪へ。箕面自由学園高等学校にて理科教員として採用され、16年勤務した後、中学校へ異動して5年。担当は数学科だが、「総合的な学習の時間」と進路関係に割いている時間が多い。昼間・夜間・通信制と大学を3回卒業しており、教員免許を複数所持している。在職中に大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程(実践学校教育専攻)修了。

「ともに考える 私たちの学校プロジェクト」において、私の属するグループでは、「主体的な学び」を中心に話をしている。先生方とお話をしている中で主体的とは何だろうと改めて考えさせられている。

「主体的とは?」同好会から考える

私自身は、数学の教員でもあり、中学・高校でそれぞれ自分の経験してきたものとは異なる同好会の顧問をしている。生徒達のマネジメントは出来ても、技術的な面での指導はできない。けれども生徒達は、様々な方々の厚い協力を得ながらも主体的に動いてくれている。

同好会の活動を見ている中で、私自身、生徒達に何らかのことを伝えたいと思ってしまうのは、教員としての癖なのだろう。けれども、出せない口は出さずに、生徒達のために必要なフォローをしようと思っている。そして生徒達は今日も笑顔で主体的な同好会活動をしてくれている。生徒によっては同好会の活動があってこその学校と言っている生徒もいる。

学校に登校して授業に参加している時点で主体的である、とも言えるだろうし、授業中に積極的に発言をしたら主体的である、とも言えるのかもしれない。そもそも学校に児童・生徒達(以下、生徒)が登校する目的(あるいは目標)、学校が生徒達に教育活動として実施したい目的、そこが本来は一致するものかもしれないが、恐らく一致していない。

生徒により、勉強やクラブ活動、友達付き合い、様々なことが学校へ登校する目的になると毎年担任をしていて感じる。その目的を生徒が見出せるかどうか、一人ひとりの生徒に寄り添えるかどうか、が教員として必要なのかもしれない。

ただし、そこには正解はおそらくない。これは総合的な探究の時間や総合的な学習の時間についても同じ議論になると思うのだが、正解のない問いに対しては、正しい道筋が示されるものではない。教員も一人の人間である以上、正しい道筋が無ければ失敗することももちろんあるはずだ。生徒も教員も失敗が許される環境、そして失敗できる余裕、それが学校のあり方として欲しいと、今回のプロジェクトで先生方と議論をする中で感じた。

生徒の「主体的な学び」を支え、追求する

学校という場である以上、学びの時間は必ずあり、せっかくならば受動的であるよりは「主体的な学び」であることが望ましいであろう。生徒の「主体的な学び」を支えられる学校、周囲の援助も得ながら教員も様々な実践を通して生徒の「主体的な学び」を追求していくことが出来る学校、多彩な形の「主体的な学び」と学校の関係をさらに考えていきたい。

そしてそのためにも、色々な校種の先生方との対話を通じて意見交換ができる今回のプロジェクトのような場は貴重であり、今後もこのような機会と参加者が増えていけばと願っている。