校内を散策「きょうは雑草を摘んで天ぷらに」
「きょうは雑草を摘んで天ぷらにして食べましょう」
5月、第1生物教室に集まった部員たちへの、宮崎瑞菜部長のそんな一言から部活が始まった。「雑草とりに外にいます」と黒板に書くと、この日集まった約20人の部員が学校の敷地内に散策に出る。敷地の斜面、校舎と校舎の隙間の緑地……。東京・永田町という都心にありながら、敷地内は意外とびっしり、たくさんの雑草が生えている。部員が手に持つのは過去に雑草研究部が編集したオリジナルの図鑑「日比谷高校植物誌」。スマホで調べるなどして情報を共有しながら雑草を採取していく。
「ハルジオンを探してみよう。ヒメジョオンとの見分け方は知っているかな?」
「そこに生えている葉、シソ科じゃない?においをかいでみて」
「あ、梅がなっている。今度梅ジュースを作ろう」
散策の間に見つけた植物に、会話が弾む。
一面にシロツメクサの花が咲いているところに着くと、「シロツメクサとカタバミの違いはわかるかな?きょうはシロツメクサの花を摘んで食べます」という宮崎さんの言葉を受けて、部員が花を摘んでいく。カタバミは葉の1枚1枚がハート形で、シロツメクサは丸っこいなど特徴で見分けられるそうだ。
教室に帰ると、摘んできた雑草を天ぷらにあげるグループ、事前に摘んで乾燥させておいた雑草をから煎りしてお茶にするグループ、なっていた夏みかんの皮をむいて生で食べる準備をするグループにわかれて作業を進めた。オオバコ、スギナ、ササ、ヨモギをそれぞれフライパンでから煎りすると、周りに香ばしい香りが漂う。摘んできたシロツメクサの花も、衣をつけて天ぷらにすると、おいしそうな匂いが教室に広がった。
完成したら、試食タイムだ。ササ、ヨモギのお茶は香りが強く、さっぱりした風味。オオバコとスギナは、優しい味でハーブティーのようだ。部員のみんなが「おいしいですよ」と絶賛するシロツメクサの花の天ぷらも試食させてもらう。苦みはまったくなく、くせのない味と少ししんなりとした食感で確かにおいしい。「白身魚みたいな食感」「何か、いい匂いがふわっと香る」と部員たちが感想を言い合う。夏みかんをむいて試食した部員は「春より甘くなってる!」と驚いていた。
「ドクダミの抗菌作用は」興味を深め研究発表
校内に生えている雑草を調べたり親しんだりする活動をしつつ、部員は研究テーマを決めて、年2回、東京都内のSSH指定校合同発表会などで発表もする。最近は「稲わら以外で大豆を包んでも納豆はできるのか」「セイタカアワダチソウに含まれる他の植物の発芽を抑制する物質について」「ドクダミの抗菌作用について」などをテーマに研究してきた。