中学校などの部活動改革の一環として、休日の活動を段階的に地域に移行する議論が進められています。うまくいけば指導する教員の負担が軽減される利点がある一方、外部の指導者確保をはじめとする受け皿作りが課題となっています。そんな中、部活動にかかわる教育関係者が、「いま求められる部活動のサポート」をテーマに話し合いました。2021年12月、大阪市で開かれた日本部活動学会(会長・神谷拓関西大教授)の研究集会の模様をお伝えします。

 

17年に発足した同学会は、大会と研究集会をそれぞれ年1回ずつ開いてきたが、コロナ禍でオンライン開催が続き、リアルでの会合はほぼ2年ぶりとなった。今回のサブテーマは「持続可能なマッチングを探る」。学校や教育委員会と、17年度に制度化された「部活動指導員」など外部の指導者をどのようにマッチングさせていくかを中心に、意見発表や議論を進めた。会場には100人を超える研究者や部活動関係者が集まった。 

やりたい部活がない中学生

はじめに同学会前会長の長沼豊・学習院大教授が「今、学校と地域の連携で何が問われているのか?」と題して基調報告した。外部の指導者にはボランティアも多いことについて、長沼教授は「ありがたいことだが、ボランティア依存では持続可能にならないし、問題があっても『熱心にやってくれているから』と校長先生すらやめさせられないこともある」と述べ、1年間など期間を決めて契約を結び、どこまで関わってもらうか明文化しておく必要性を指摘した。

日本部活動学会の会合が対面で行われるのはほぼ2年ぶりとなった

生徒が減って廃部の動きが強まり、やりたい部活が地域にないという事態が過疎地以外にも広がっている背景にも触れた。「学校だけではもたない。外の方々に助けてもらう仕組み作りが喫緊の課題」として、研修やライセンスで外部指導者の質を担保したうえで、学校とうまくマッチングさせることが重要との見解を示した。長沼教授はまた、部活動の「地域移行」ではなく「地域展開」と呼んでいることについて「学校から地域にそのまま移すことはできない。大人や小さい子など異年齢が一緒に楽しむクラブなど、今までの活動にこだわらない形があってもいい」とも述べた。

長沼豊・学習院大教授(左)と中村鉄太郎・株式会社「GO」社長

続いてパネリストによる報告があった。公立中学校などの部活動で指導に当たっているソフトテニスのオンラインスクール運営会社「GO」(東京都八王子市)の中村鉄太郎社長は、自らの競技経験をもとに「中高大の10年間、自分は体罰や感情に任せた叱責を受けたことはなかったが、そうした指導は今も横行している。そのような指導をなくしたい思いからスクールを始めた。指導者は経験則のみから語るのではなく、学び続けることが必要だ」と語った。 

大体大「グッドコーチ」38人登録

大阪体育大は今年度、部活動で指導できる学生を養成する「グッドコーチ養成セミナー」を始めた。現在、38人が登録し、このうち教育委員会や学校とマッチングできた10人ほどが中学や高校に派遣されている。小林博隆准教授は、「競技の審判やトレーニング指導、けがの応急処置やリハビリなど専門的な能力を持つ指導者の派遣を求められることが増えてきた。ニーズに応えられる授業の充実を検討している」と話した。