東京都立高校では2022年度の新入生から、GIGAスクール構想の「1人1台端末」を利用した学習が始まります。全国一斉に始まった小中学校と比べると、端末の整備費用をだれが負担するかなど都道府県ごとに異なるルールが設けられ、小中学校ではなかった課題も出てきそうです。都高等学校情報教育研究会の会長を務める都立田園調布高校の福原利信校長(情報科)はどうみているのでしょうか。高校でのICT活用のあり方も含めて聞き、要点を整理しました。

3種類から各校選択 スペックに「不安」

都立高校の新入生は原則3万円の保護者負担で、ノートパソコンの「Surface Laptop Go」、簡易なキーボード付きでタッチパネルが使用できる「Surface Go 3」、「iPad」のどれかを購入する。どの機種にするかは各校が選ぶが、「Laptop Go」は都教育委員会が商業科やデザイン科など、よりハイスペックな機種を必要とする場合を想定しており、多くの学校は「Surface Go 3」を選んでいるという。

田園調布高校でも「Surface Go 3」を選んだ。メモリは4GB、ストレージは64GBで、OS(Windows11)が推奨する最小スペックとなっている。福原さんこのスペックを不安視する。「三つの中の上位機種であるLaptop Goは、生徒が持ち帰るには大きくて重いのでSurface Go 3を選びました。ただ、本当にこれでWindoows11が動くのか。使いたいことがうまくできないのではいか。私たちとしては『(動作に)5分待てば動くかもしれないけれど、それで使えるの?』という不安がすごくある。また、ストレージが64ギガしかないので、端末にデータを入れておくことができなくて、ほとんどをクラウド上に載せることになる。本来はローカルで作業した方がスムーズなものもあると思います」「現場の要望は都教委にお伝えしたのですが、『大丈夫』ということだった。Microsoft製品なので、(オンライン会議やチャットのやりとりができる)Teamsを活用していくという提案だった。その辺は使ってみないとわからない」と福原さんは話す。

校内Wi-Fiに使用制限、端末は制限なし

都立高ではWi-Fiの整備が進んでおり、今年度末には完了。新入生に配備される端末もそのWi-Fiを利用することになる。ただ、このWi-Fiにも課題があるという。