校舎内にある和室で部活が始まった。香道では、香りをかぐことを「聞く」という。嗅覚(きゅうかく)だけでなく、五感を集中させて香りに向き合う。「香木が話しかけてくる言葉を、心を静めて『聞く』イメージです」と向笠先生。
この日行われたのは、何種類か香りを聞き比べ、それぞれの香りを当てる「組香(くみこう)」だ。「お点前始めさせていただきます」の言葉に部員が一礼する。香炉の中に熱した炭を置き、その上に灰をかぶせてきれいな山のような形に整え、筋をつける。山のてっぺんに雲母の薄い板でできた「銀葉(ぎんよう)」を置き、その上に小さく切られた香木を載せる。
香木は、長い時間をかけ、木の樹脂が熟成するなどして良い香りを放つようになったものだ。灰の上に直接香木を置くと、熱くなりすぎ焦げたりするため、それを防ぐのに銀葉を用いるという。
香り聞き比べる組香 五感集中し向き合う
準備が整うと、自分の前に運ばれた香炉を左手に取り、右手でふたをするようにして親指と人さし指のすき間から香りを聞く。今回行われたのは「白河香」という組香で、