朝日新聞社が3月28日に開催した、学校の先生たちに向けたウェビナー「新・先生のための勉強会~ともに創る 深いSDGsと新たな学校文化~」。聖心女子大学教授の永田佳之さんと埼玉県立伊奈学園中学校教諭の松倉紗野香さん、新渡戸文化学園・副校長で学校デザイナーの山藤旅聞さんが、「学びとは何か」や「持続可能な社会をつくる教育とは」など四つの問いを切り口に、SDGsやこれからの教育などについて、参加者とともに考えを深めました。

問1.あなたにとって学びとは?

一つ目の問いは「あなたにとって学びとは何ですか?」。
これに対してまず松倉さんは「ありたい社会を考え、問い続けること、そしてその社会をつくること」「そのための学びってなんだろうと考えることそのものが学び」と回答した。自身の授業では、年度初めの総合的な学習の時間で、生徒たちと「将来大人になったときにこうなっていたらいい社会」「こうなっていたら困る社会」を考え、最後に「こういう社会をつくっていくのは誰なのかな?私たちだよね?」と確認するという。

松倉さんが生徒に授業で問いかけた「将来みんなが大人になったときに、こうなってたらいいなと思う社会と、こうなってたら困るなという社会」。生徒たちから様々な意見が出た
松倉さんが生徒に授業で問いかけた「将来みんなが大人になったときに、こうなっていたらいいなと思う社会と、こうなっていたら困るなという社会」。生徒たちから様々な意見が出た

前任の上尾市立東中学校が文部科学省の研究開発学校に指定され、「グローバルシティズンシップ科」が新設された際は、研修で「まず私個人、それから私たち教員集団、職員室の中はどうしたいのか、学校はどういう姿になっていきたいのか」とビジョンの共有を行い、「顔を突き合わせて日々授業の話、生徒の話をしている中で、私たちの根底にあるものは何なのか、と考える時間を持ちました」と振り返った。

山藤さんは、「学びは自由で未来へいかせる実感」と画面に表示した。「学びは自由で、表現することすら自由で、そしてそれは確実に未来に生かしていける。そういう実感を得ていく日々が大切なんじゃないかなと捉えています」とした。担当教科の生物の3学期の試験では、1年間で学んだ内容から、次世代に伝えたいと思った分野に関するコラムを書くとともに、そのコラムについて解説し、誰に届けたいかなどを説明するよう求める。