GIGAスクール構想の核となる子ども「1人1台」端末の利用は、この春から小中学校に続いて多くの高校でも本格的に始まりました。東京都世田谷区にある私立田園調布学園中等部・高等部は2014年に校内でタブレットの貸し出しを始め、18年からは1人1台端末の整備を進めるなど、早くからICT環境の充実に力を入れてきました。20年には中等部・高等部6学年で端末の整備が完了し、授業だけでなく部活動や委員会活動、文化祭など様々な場面で使われています。他校からも視察に来るという同校の活用例や気をつけているポイントなどを取材しました。

端末 ノート代わりにも共同作業にも

生徒たちの机の上にあるのは、紙のプリントと、Google開発のOS(基本ソフトウェア)を搭載した端末「Chromebook」(クロームブック)。歴史の授業の一コマだ。先生が「元寇」について説明すると、生徒が手元の端末の画面をピンチアウトして画面上の地図を拡大し、中国大陸と日本の対馬の位置関係を確認する。先生が手元の端末を操作して「元(げん)」の位置を円で囲み、プロジェクターに投影して生徒たちに共有し、解説を続ける。生徒たちは「元寇」という漢字を紙で書いてみたり、画面にタッチペンで用語に下線を引いて強調したり。紙と端末の使い分けもそれぞれだ。

英語の授業ではクロームブックを使い、班ごとに英単語の意味を答える。出題ごとに、班のメンバーも機械的にシャッフルされ、そのたびに生徒が端末を持って移動し、顔ぶれを変えて集まる。「upsetは腹を立てるって意味があるんだね」「『散らかった』って英語でなんだったっけ?」と会話が弾む。一通り答えた後は、正答が少なかった英単語が白板に自動的に投影され、先生が解説していく。

音楽でも端末が大活躍だ。作曲を学ぶ授業では、生徒たちはオンライン楽譜作成ソフト「Flat」を使って曲を作る。先生は、完成した曲だけでなく一人ひとりの作曲の過程も確認でき、それぞれの指導に生かす。コロナ下でステイホームが続いた時期はフルートと琴を1人で自宅で演奏し、動画を編集して一つの作品にした生徒もいた。

いろいろな教科で活用されているのが、「スプレッドシート」や「ロイロノート」。