GIGAスクール構想で小中学校に配備された「1人1台端末」は、学校によっては子どもたちの持ち帰り利用が本格化し、学校でも家庭学習でも、身近な道具として力を発揮し始めていることでしょう。あとは、子どもの学びを促したり、支えたりする先生たちがこの道具とどう向き合うか。ICT(情報通信技術)に精通している人も、そうでない人もいる点は、どんな会社や組織も変わりません。教員間の得手不得手の差を縮める努力が続けられています。   

 

東京都墨田区の区立寺島中学校に生徒1人1台のiPadの端末が配備されたのは今年1月。GIGAスクール構想が始まった4月からは毎日、端末の自宅への持ち帰りも始めた。学校に保管庫はなく、基本的に個人で管理することにしている。 

転任したての先生らサポート

同校の授業では、教材配布やアンケート、回答の共有などの機能を持つアプリ「ロイロノート・スクール」を使っている。端末導入に先立って昨年度、同校のICTリーダーだった佐藤圭介先生(36)が、ロイロノートを使うためのクラス設定などの準備作業を担った。授業での活用についても、どんな使い方ができるか試行錯誤しながら、他の先生たちに伝えていったという。

しかし、佐藤先生のように端末の操作やアプリの活用の仕方に通じている先生たちばかりではない。特にロイロノートは、他の区から転入してきた先生にとっては初めて使うケースも多く、年度初めは使い慣れている先生との差が大きかった。同校はこの点を踏まえて慣れていない先生へのサポートを重視し、7月にはICTを活用した研究授業が各学年と特別支援学級に分かれて行われた。

吉羽先生と佐藤先生
今年度のICTリーダーの吉羽駿介先生(手前右)と昨年度のリーダーの佐藤圭介先生=墨田区立寺島中学校

今年度のICTリーダーの吉羽駿介先生(26)は「他にも職員会議の時に時間をもらって使い方をお伝えしたり、わからないことに個別にお答えしたりしています」。自らは担当の社会科で、これまでプリントを配布していた資料を、より鮮明なiPadの共有画像に替えて見せる、生徒それぞれの考えを瞬時に集約して意見交換に役立てる、といった使い方をしているという。 

「ICTに使われている」