朝日新聞は2月12日、2025年の大学入学共通テストを見据え、教科「情報」をテーマにした無料ウェビナー「『情報Ⅰ』入試まであと1年でできること 小中学校の『情報教育』の役割は」を開催しました。

第1部では、「大学入試『情報』の最新動向と小中高の情報教育への展望」と題し、駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一さんが講演しました。同予備学校の集計では、国公立大の学部や学科のうち、2025年の大学入学共通テストで「情報」の配点を全体の10%未満としているところが多いそうです。「『情報』の活用は、25年は旧課程履修者への配慮から限定的ですが、26年からは文系、理系に関わらず本格化するでしょう。小、中学校でのデータ分析やプログラミングの経験が生きてくると思います」と予測しました。

第2部は、「入試まであと1年でできること!小中に期待することは?」と題し、高校の教員3人の報告をお届けしました。神奈川県立横浜国際高校の鎌田高徳さんはICT(情報通信技術)を使って生徒自ら問題を発見、解決できるようになることを自転車に乗る練習にたとえました。「先生がいなくなっても、自分で積極的に活用できるようになる必要があります。そのためには問題解決を授業の中に採り入れることが大事です」と語りました。

東京都立神代高校の稲垣俊介さんは、入試科目でなかった「情報」を3年生に6年間教え、おもしろい授業の試行錯誤をしてきたといいます。入試科目になったことを「わかりやすい指標ができた」ととらえ、「今後もおもしろい授業をして学力を身につけさせてあげたい。小中学校の先生もこれまで通り、情報活用力を身につけさせてほしいです」と述べました。

情報Ⅰの授業について「自分が話す時間は15分以内が目標」と話すのは都立立川高校の佐藤義弘さん。「隣の友だちと予習内容を共有、わからなかったところを質問してもらい、回答の過程で深まることも多いです」。アウトプットを重視し、試験対策でも、「過去問を解いて解説するより、学んだことを活用する体験のほうが重要でしょう」としました。

朝日新聞は、魅力的な先生の授業を取材し、16年間にわたって連載「花まる先生 公開授業」で紹介してきました。寺子屋朝日の「花まる先生と考える『未来の教育』プロジェクト」では、これからの時代の授業、学校、教師のあり方について考えるため、連載にご登場いただいた先生方を講師に迎え、様々なテーマでウェビナーを開催しています。今後もご期待ください。

イベント登壇者

石原 賢一さん(いしはら・けんいち 駿台予備学校入試情報室部長)
大阪市出身。京都大学工学部卒。1981 年、駿台予備学校に入職。その後、高卒クラス担任、高校営業担当、講師管 理担当、校舎長などを歴任。2006年、 駿台予備学校進学情報センターに異動。23年4月、駿台グループの組織変更に伴い、現職に就任。

鎌田 高徳さん(かまだ・たかなり 神奈川県立横浜国際高校情報科教諭)
神奈川県立横浜国際高校情報科教諭。宮崎県都城市出身、関西大学大学院情報学修士、平成22年に情報科教員として神奈川県にて採用。情報の授業で「身近で楽しそうな問題解決の題材」を設定するようにしている。著書に情報Ⅰのスタートと同時に出版した「高校の情報Iが1冊でしっかりわかる本」(かんき出版)がある。

稲垣 俊介さん(いながき・しゅんすけ 東京都立神代高校情報科主任教諭)
東京都高校情報教育研究会情報Ⅰ大学入試検討委員会委員長。東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程を修了し、博士(情報科学)の学位を取得した。2007年度より東京都にて情報科教員となり、実践と研究に尽力している。山梨大学にて客員准教授、筑波大学と國學院大学では非常勤講師として務め、将来の教員の育成にも貢献している。

佐藤 義弘さん(さとう・よしひろ 東京都立立川高校指導教諭)
1988年に都立高校の数学科教諭に着任。情報科が創設された2003年度から情報科の専任教員として務め、情報科の教科書及び問題集などの作成にも携わる。19年度から実証研究として「情報Ⅰ」の授業を展開した。津田塾大学非常勤講師。

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