GIGAスクール構想が始まって全国の学校でICTを生かした取り組みが進む中、どんな課題が見えてきたのでしょうか。これから目指したい学びのすがたとは――。前回に続き、堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授(教育工学)に聞きました。   

先生たちのICT(情報通信技術)活用指導力に課題があることは、文部科学省が8月に発表したGIGA端末の利用状況についての調査結果にも表れていました。パソコンが苦手な先生は、あまり触らないから上手にならず、苦手なままになりがちです。

GIGAスクール構想をやると決まったとき、地域の中に先進校を1校決めてICTを活用した授業をどんどんやってもらい、周辺の学校の先生たちが見に行く、オンライン研修を在校で受けられるようにする、といった仕組みをつくった自治体では、端末の活用が進んでいます。苦手な先生たちも忙しい中で頑張っており、無理にでもそうした研修を受けられる工夫が必要ではないでしょうか。つまり先生のICT活用指導力を高められるかどうかは、教育委員会のリーダーシップの問題です。 

苦手な先生ほど端末に触れて

大事なのは、ICTが苦手な先生ほどたくさん触ることです。オリンピックの水泳選手の映像をどれだけ見ても上手に泳げるようにはならないように、上達するには自分で泳ぐしかありません。では、何から触ったらいいのか。子どもが授業で使うものから触るのです。子どもよりも少し先生のほうが知っている、あるいは子どもと同じくらい知っているとなれば、自信を持って子どもの前に立てるはず。中学生にできることは、大学卒の先生であればできます。

打ち込み授業
端末を使って道徳の授業を受ける小学生=東京都八王子市立緑が丘小学校

ジェネレーションギャップは避けられないので、ICT活用に関してはおおむね若い先生のほうが上手です。授業や生徒指導は教えるからパソコンのことは教えてくれ、と頭を下げる。場合によっては、子どものほうが詳しいから、子どもに教わったっていい。プライドを捨てて、苦手だということを開示する。そのほうが良い関係になりますよ。

これからの時代は、学校は教わったことを覚えてテストでちゃんとできたら終わり、ではありません。自ら課題を見いだし、解決する力を持つ人を育てる必要がある。学習指導要領改訂に向けた2016年12月の中央教育審議会の答申は、学校教育の役割を「様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力の育成が社会的な要請」とうたっています。 

先生は「かじ取り役」に