総合型選抜のおさらい
「総合型選抜」とは昨年までの「AO入試」のこと。志願書などの書類審査、面接、小論文、プレゼンテーションなどを課し、受験生の能力や適性、学習意欲などを多面的・総合的に評価する入試方式。一般入試のような複数科目の学力テストが課されない代わりに、学習意欲や目的意識、志望する学部・学科との相性が重んじられるのが特徴です。
コロナ禍の今、この総合型選抜に今年は注目が集まっています。年初の一般入試がどういう状態で受験できるか不透明な状況で、年内に合格がもらえる総合型選抜や学校推薦型選抜での合格を狙う受験生が多くなるのは無理もありません。
国公立大学にもある総合型選抜
総合型選抜は私立大学のものというイメージを持っている人も多いでしょう。ところが、最近は国公立大学でも実施が進んでおり、募集枠も増えています。コロナ禍で経済状況も不安な今、学費面の負担が少ない国公立大学の総合型選抜が狙い目ではないかと思います。 国公立大学の総合型選抜のスケジュールは、大きくわけて2パターンがあります。
1つめは9〜10月出願→11〜12月合格発表、2つめは大学入学共通テスト(共通テスト)のスコアを利用して1月に出願→2〜3月合格発表というもの。なかには、年内の9月に出願し、年初の共通テスト受験後、2月くらいに合格発表になるような長いスパンの選抜方式もあります。 総合型選抜の選抜方法は、一般に「学力型」「対話型」「実技型」に大別されるといわれています。国公立大学で多いのは「学力型」。多種多様な資料が与えられ、ボリューム感のある論文の作成などが求められます。ここはさすがに国公立。簡単にパスできることはありません。 というわけで、今回は、2020年9〜10月出願で年内に合格発表がある国公立大学の総合型選抜を調べてみました。
(以下、2020年9月11日現在/進路企画調べ)
旧帝大を目指すなら東北大、九州大
まずは、志高く旧帝大を目指す人向けの情報を。年内合格発表の総合型選抜を実施しているのは、東北大学と九州大学。東北大学は、東大や京大に先がけてAO入試(現総合型選抜)に力を入れてきたことでも知られています。
■東北大学 AO入試Ⅱ期
対象:文学部/教育学部/法学部/理学部/医学部医学科/医学部保健学科/歯学部/工学部/農学部
日程:【インターネット出願事前登録開始予定】10月上旬→【出願】10月中旬→【第1次選考】11月上旬【第2次選考】11月下旬→【合格発表】11月下旬
■九州大学 総合型選抜Ⅰ
対象:共創学部
日程:【インターネット入力開始】9月上旬→【出願】9月中旬→【第1次選抜(書類審査)】→【第2次選抜】10月下旬〜11月上旬→【合格発表】11月中旬
対象:教育学部
日程:【インターネット入力開始】9月上旬→【出願】9月中旬→【第1次選抜】10月中旬→【第2次選抜】11月下旬→【合格発表】12月下旬
※上記学科名等の記載のない対象は、学部単位で掲載しています。気になる学科・コースなどが該当するか、大学サイトでご確認ください。
地元の国公立で総合型選抜を探す
Withコロナ時代において、オンライン教育の急速な普及で距離があまり問題にならなくなってきた大学も「地方の時代」という見方もあります。中堅〜上位校で成績優秀&アクティビティの成果も上々という生徒なら、地元の国公立大学の総合型選抜に募集があればぜひ狙ってみるのがいいでしょう。年内合格を目指すなら、以下の大学が狙い目。筑波大学など、書類審査と面接や口述試験のみで合否が決まる大学もあります。
■岩手大学 総合型選抜Ⅰ
対象:教育学部
日程:【出願】11月上旬→【試験】11月中旬〜下旬→【合格発表】12月上旬
対象:理工学部
日程:【出願】9月中旬→【第1次選考(書類審査)】→【第2次選考】10月中旬→【合格発表】11月上旬
■筑波大学 AC入試(アドミッションセンター入試)
対象:人文・文化学群/生命環境学群/情報学群/体育専門学群
日程:【インターネット出願登録開始】8月下旬→【出願】9月中旬→【第1次選考(書類審査)】→【第2次選考】10月中旬〜下旬→【合格発表】11月上旬
■千葉大学 総合型選抜
対象:教育学部(方式II)
日程:【出願】9月中旬→【試験】10月上旬→【合格発表】11月上旬
対象:理学部
日程:【出願】9月下旬〜10月上旬→【第1次選抜(書類選考)】→【第2次・第3次選抜】11月中旬→【合格発表】11月下旬
■静岡大学 大学入学共通テストを課さない総合型選抜
対象:人文社会科学部
日程:【出願】9月中旬〜下旬→【選抜】10月上旬→【予備日】10月下旬→【合格発表】11月上旬
対象:情報学部/工学部
日程:【出願】9月中旬〜下旬→【第1次選抜】10月下旬→【第2次選抜】11月中旬→【予備日】11月下旬→【合格発表】12月上旬
対象:農学部
日程:【出願】9月中旬〜下旬→【第1次選抜】10月上旬→【第2次選抜】10月中旬→【予備日】10月下旬→【合格発表】11月上旬
■新潟大学 総合型選抜
対象:経済科学部
日程:【WEB登録】9月下旬〜10月上旬→【出願】10月上旬→【試験】11月下旬→【合格発表】12月中旬
対象:工学部
日程:【WEB登録】9月上旬〜中旬→【出願】9月中旬→【試験】10月下旬→【合格発表】11月上旬
■長崎大学 総合型選抜I
対象:多文化社会学部/経済学部/工学部/水産学部
日程:【出願】9月中旬→【第1次選考(書類選考)】→【第2次選考】10月中旬〜下旬→【合格発表】11月上旬
※上記対象は、学部・学群単位で掲載しています。気になる学科・コースなどが該当するか、大学サイトでご確認ください。
英語特化、物理特化などユニークな選抜方式も
すべての授業を英語で行う秋田県の国際教養大学が実施する出願書類および日本語・英語による面接、英語小論文の選抜など、生徒の強みに特化したユニークな選抜方式を採用している大学もあります。強みを最大限に活かせる方式を探してみましょう。
■国際教養大学 総合選抜型入試Ⅰ
対象:国際教養学部
日程:【出願】10月下旬〜11月上旬→【試験(面接・英語小論文)】11月下旬→【合格発表】12月上旬
※英検準1級相当の英語資格取得者、国際バカロレアカリキュラムのDP修了・最終試験6科目合格者、1年以上の高校留学経験者などを対象とする選抜方式
■筑波大学 国際科学オリンピック特別入試
対象:生命環境学群/理工学群/情報学群
日程:【インターネット出願登録開始】8月下旬→【出願】9月中旬→【(生命環境学群生物学類のみ第1次選考書類審査)】→【試験(生命環境学群生物学類は第2次試験)】10月中旬→【合格発表】11月上旬
※国際科学オリンピックに日本代表として選抜された人、代表選考会などで一定の成績を収めた人を対象とする選抜方式
■千葉大学 総合型選抜(物質科学コース 理数大好き学生選抜 方式Ⅱ)
対象:工学部総合工学科物質科学コース
日程:【出願】9月下旬~10月上旬→【選抜】10月下旬→【合格発表】11月中旬
※高校生を対象とした個人研究で、著名な国際科学コンクールの日本代表又はそれに準ずる成績をおさめた人が対象
■岡山大学 物理チャレンジ
対象:理学部物理学科
日程:【出願】11月上旬→【試験】12月上旬→【合格発表】12月下旬
※全国物理コンテスト「物理チャレンジ」に参加し、第2チャレンジに出場した人を対象とする選抜方式
■岡山大学 ディスカバリー入試
対象:グローバル・ディスカバリー・プログラム
日程:【出願】9月中旬〜下旬→【試験】10月下旬→【合格発表】11月下旬
※主に英語のみで受講する岡山大学グローバル・ディスカバリー・プログラム入学者向けの選抜方式。国際バカロレアプログラム修了者などが対象。
※上記学科名等の記載のない対象は、学部・学群単位で掲載しています。気になる学科・コースなどが該当するか、大学サイトでご確認ください。
出願は9月中旬から10月がメイン。まさに「今」なのです。各大学の公式サイトには、総合型選抜の概要が掲載されています。出願可能なエリア、日程、条件などで揃うなら、ぜひ試験の詳細を調べてみてください。総合型選抜の出願は、「専願」が原則になります。将来のことも考えながら、親子で検討していただければと思います。
なお上記の情報は、新型コロナウイルス感染症の状況などに応じて変更になる場合があります。最新情報を必ず大学サイトでご確認ください。