2020年度から順次実施されている新学習指導要領では、一人ひとりの児童生徒が持続可能な社会の創り手になれるような指導を学校に求めています。各教科でもSDGsの視点を取り入れるように促していますが、適当な教材が見当たらないという教員の声も少なくありません。
授業に役立つ冊子は17年から発行
朝日新聞社はかねてSDGsプロジェクトという社内チームを結成していました。学校での授業やワークショップでの活用を想定して、朝日新聞紙面に掲載されたSDGs関連の記事をまとめた「2030 SDGsで変える」(以下、SDGs冊子)を17 年から毎年発行し、無料で配布しています。最新版は昨年10月発行の「2021年版」です。毎年、多くの応募があり、小学校から大学まで幅広い教育機関から「生徒や学生に配り、教材にしたい」という申し込みも増えています。
一方、教育現場からは、「この冊子を使って、どんな授業ができるのかを知りたい」「授業を組み立てるための先行事例を教えてほしい」などの声が編集部に寄せられていました。今回の活用ガイドはその要望に応えるものです。
現役教員が作成に協力
実際にSDGs冊子を使って授業をしたことのある現役の教員に協力を求め、利用法をまとめました。具体的な指導案は「新聞記事を題材にしてクイズ形式で授業展開」「記事を物語形式で伝え、ノンフィクション力を活用」「冊子をヒントに自ら発見『自分たちにできること』」の3例を紹介しています。それぞれについて、導入・展開・まとめなどの時間配分や指導上の留意点などを例示し、具体的な発問の仕方や授業プリントの作り方 なども説明しています。
また、教科ごとに活用できる冊子内の記事、ワークショップ的に学べる「SDGsふせん」を使った授業プラン、ESDを踏まえたSDGs教育に使える記事がSDGs冊子のどこに記載されているか、などを紹介しています。
作成に携わったマーケティング戦略本部コミュニケーションデザイン部の担当者は「長年、教育現場で活用されてきた新聞はSDGs教育の生きた教材です。今回の活用ガイドには、新任や経験の浅い教員を意識したヒントや小学校低学年向けの指導案も収録しています。多忙な教員たちの教育活動の一助となるような冊子にしました。ぜひご利用下さい」と話しています。同部ではまた、より教育現場で役立つ冊子やガイドづくりのために、先生たちの意見や要望、SDGs冊子を活用した指導案も募集しています。
活用ガイドはA4判16ページ。希望者は、寺子屋朝日に会員登録すれば1冊を無料で進呈し、送料も無料です。