今回は専門学校選びの実践編として、とても大切な「就職実績の見かた」について解説していきます。

就職実績は分母に注目!求人票の数や業界定着率も知っておきたい

特定の分野でプロを目指す専門学校にとって必須の「就職実績」。

この就職実績のチェックは重要なポイントですが、見るには少しコツが必要です。必ず見てほしい指標は「卒業生のうち何人が就職をしたか」です。よくある就職実績は「就職希望者のうち何人が就職をしたか」というもので、これとは少し意味合いが異なります。

専門学校で多い就職率の出し方は、就職希望者を分母にした場合です。たとえば100人の卒業生のうち、就職希望者が80人いて78人が就職した場合、希望者を分母として78(決定者)÷80(希望者)=就職率97.5%と公表するパターン。

もちろんこれも間違いではないのですが、受験生の本当に知りたい情報が「卒業生全体に対してどのくらいの人が就職できているのか」である場合、この計算ではニュアンスが違うことになります。

そこでもう1つの見かたとして、大学で主流となりつつある「実就職率」という計算方法をご紹介したいと思います。これは卒業生全体から大学(大学の場合は大学院進学)などへの進学者数を引いた数を分母として就職決定者と割り算をする(就職決定者)÷(卒業生―進学者数)という計算式です。

たとえば、上記の例で大学などへの進学者が5名いた場合は78÷(100-5)=約82%が実就職率ということになります。決定者と希望者で割り算をした97.5%よりも、こちらの方が実態に近い数字と言えるでしょう。週刊誌などに出ている大学の就職率はこの方式で計算されている事が大半です。

気になる志望校に対して「実就職率はいかがですか?」という聞き方をしてみることをお勧めします。

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就職率の求め方

次は、具体的に志望校が過去にどのような企業や店舗に卒業生を就職させているかを見る場合です。

毎年の就職実績をしっかり明示している学校には一定の信頼がおけます。しかし、過去3年分や5年分というようにまとめて表示をしていて、単年の状況がわからない学校はあまり就職実績がよくない可能性があります。

ちょっとしたコツとして、学校見学をする際に就職部署の壁に掲出されている企業からの求人票をチェックすることをお勧めします。その学校にどれくらいの求人があるのか、どんな分野に就職実績があるのかもわかります。更に、志望業界の初任給がいくらくらいなのかも知ることができて業界理解へのよい手がかりにもなります。

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最後に、業界定着率というあまり聞きなれない言葉について解説します。

これは卒業生が関連業界でどれくらい辞めずに勤め続けているかを指す指標です。たとえば美容分野ならば、美容室や理容室などに就職して一定期間継続して業界内で働いている人の割合です(お店を移ることも含まれています)。

業界定着率まで公表している学校は少数ですが、もし志望校がこの情報を出していたらそこは就職に自信がある、情報公開に積極的な学校だと考えられます。

ただ、業界定着率が良いということは、在学中にしっかりと即戦力となるための技術やマナーを身につけさせているということなので、授業や生活指導などがそれなりに厳しい内容であろうことを理解する必要があります。

就職実績が良い専門学校ほど受験相談にくる高校生に対してその業界の厳しさなど、「耳の痛い話」もしっかり伝えているように感じます。志望校を選ぶ際は優しいことばかりを言う学校よりも、少し厳しいくらいの学校を選んだ方が長い目で見て実力がつくといえます。