東京・有楽町の有楽町朝日ホールで6月4日に開催された合同説明会「朝日 音楽大学・音楽学部体験フェア2023」では、各大学がステージで趣向を凝らしたプレゼンテーションを披露しました。桐朋学園大学・桐朋学園芸術短期大学、武蔵野音楽大学、東京音楽大学のステージ発表の様子をレポートします。

桐朋学園大学・桐朋学園芸術短期大学

伝統と革新 桐朋で学ぶ音楽 高・大一貫教育の場から世界に羽ばたく音楽家の創出を

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_桐朋学園大学
桐朋学園大学・音楽学部学部長の中井恒仁教授、声楽部会主任の大橋ゆり教授による プレゼンテーション

「音大だからできること」「桐朋だからできること」といったテーマのもと、中井恒仁・音楽学部学部長が、音楽大学で学ぶ意義を「仲間がいる環境で音楽を学ぶことは成長につながり、生きがいや喜びを得られることにある」と説明。特に音楽学部の魅力は、少人数制で学生同士の結びつきや仲間意識が強いことにあると付け加えた。

桐朋学園大学は、一つの校舎に大学・修士課程・博士課程があることから、大学院との連携による授業やオーケストラの編成など、所属や学年の垣根を越えた学生との切磋琢磨(せっさたくま)ができ、一つの音楽を作り上げていく喜びの場になっていると説明した。

2021年ショパンコンクール2位入賞の反田恭平さんをはじめ、活躍する卒業生は多い。少人数制だからこそ、学生一人ひとりに目が行き届き、大学全体で学生を応援するアットホームな雰囲気がある。

専門科目が充実するカリキュラムのもと、指導教員を指名することができる。第一線で活躍する音楽家の招聘(しょうへい)講師から指導を受けられる機会もある。アンサンブル教育は特色になっているだけに、複数のオーケストラに参加することができる。

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_桐朋学園大学
ソプラノ独唱を披露した桐朋学園大学院生の丹羽景子さん、ピアノ演奏の佐伯涼真さん。

博士課程の学生によるモーツァルトの「魔笛」より夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」が披露され、歌い終えたソプラノの丹羽景子さんは「大切な時期に先生方からいただいたアドバイスが自分の糧になっています」と語った。ピアノを担当した佐伯涼真さんは「他楽器との交流を通して得られた、バイオリンや管楽器の音色の出し方が参考になり、ピアノでいろいろな音色を出せるようになりました」と話した。

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_桐朋学園大学
桐朋学園大学・個別相談会の様子

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武蔵野音楽大学

理想的な演奏・学修環境の実現〜伝統と先進が響き合う未来へ〜

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_武蔵野音楽大学
「〈和〉のこころ」を建学の精神に掲げる武蔵野音楽大学

武蔵野音楽大学の音楽学部は演奏学科と音楽総合学科から成り、演奏学科には「器楽」「声楽」のほかに、プロの演奏家の養成を目指し実技教育に重点を置く「ヴィルトゥオーゾ」の3コースがある。指導にあたるのは、国内外で豊かな経験を持つトップクラスの演奏家ら約170人で、いずれのコースでもマンツーマンによるレッスンを受けられる。また、来年度からは第2副科を履修できる新制度がスタートする。例えば、声楽科専攻の学生が副科のピアノのほかに、楽器の個人レッスンも受けることができるようになる。

音楽総合学科は、クラシック音楽の作曲法だけでなく、コンピューター音楽の制作なども学べる「作曲」のほか、「音楽学」「音楽教育」「アートマネジメント」の4コースを設置している。

声楽コースの在学生による二重唱「魔笛」K.620「パ、パ、パ、パパゲーナ!」の演奏の後、谷友博准教授が声楽コースについて説明。「オペラなどで活躍する先生から直接指導を受けられます。中でも3年生以上を対象にオーディションを実施して履修者を選抜するオペラ選抜クラスでは、第一線で活躍する指揮者や演出家のもとで学ぶことができます。3年生から大学院生までが履修しているため、多くの刺激を受けられる環境にあります」

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_武蔵野音楽大学
声楽二重唱を披露した武蔵野音楽大学の在学生と卒業生ら

二つ目の二重唱「愛の妙薬」より「ねぇ、ちょっと、アディーナ」の発表が終わると、演奏者4人と伴奏者がインタビューに応じた。そのうちの1人、上田駆さんはヴィルトゥオーゾコースについて「プロの演奏家をめざせるカリキュラムになっているのが、一番の魅力です」と語った。

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_武蔵野音楽大学
武蔵野音楽大学・個別相談会の様子

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東京音楽大学

進化しつづける東京音楽大学(TCM)

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_東京音楽大学
東京音楽大学・野平一郎学長

映像による大学紹介の後、野平一郎学長が東京音楽大学の特長として、すばらしい教授陣、音楽を生かせる幅広い分野の人材を育成する新専攻の開設、立地条件に恵まれたキャンパスの3つについて説明した。

東京音楽大学は「教養豊かで社会貢献できる音楽家や教育者の育成」を建学の精神に掲げてきた116年の歴史の中で、時代に先駆けた改革・改変を行ってきた。2017年に英語教育を強化した「ミュージック・リベラルアーツ専攻」を開設したのをはじめ、19年には演奏技術に加えて作曲・編曲・指揮、マーチングなども学べる「吹奏楽アカデミー専攻」を開設。また、「作曲指揮専攻」の同専攻の3コースを統合した「ミュージック・メディアコース」が21年度からスタート。「音楽文化教育専攻」は24年度から刷新する。

24年4月に新設するのが「ミュージックビジネス・テクノロジー専攻」。音楽に加えてプログラミングやウェブ関連スキルなども初歩から学び、IT関連の資格が取れるレベルまで専門的に学べるカリキュラムをを用意する。プロの音楽家を目指す人、音楽を生かして社会の広い分野で活躍したい人、音楽のほかにも学びたいことがある人など、様々な希望に応える。

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_東京音楽大学
東京音楽大学の五十嵐健太さんによるサクソフォーン演奏/野崎玲欧さんピアノ伴奏

大学プレゼンの締めくくりとして、ミュージック・リベラルアーツ専攻で学ぶ五十嵐健太さん(ウクライナ出身)が「ミュージック・リベラルアーツ専攻は全ての授業が英語で行われるのでスムーズに学べました」と語った後、ピアノ伴奏の野崎玲欧講師とともにサクソフォーンの演奏を披露した。

朝日音楽大学・音楽学部体験フェア2023_東京音楽大学
東京音楽大学・個別相談会の様子

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