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AI時代のリーダーに必須の「才」を極め、個を輝かせる

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2021年、東京大学・京都大学の合計合格者数が全国2位※となり、存在感を強めている西大和学園。教育の質的転換を経て、生徒が学びを深めながら互いを刺激し合うようになったという。その「学ぶ楽しさ」を味わう過程で、海外の名門大学に興味を示す生徒も。AI(人工知能)時代に「真の世界リーダー」を育成する教育について聞いた。

東京大学合格者数を伸ばした要因

中村 今年の東京大学の合格者が76人ですか。類を見ない伸びを見せていますね。

中岡 各業界のトップランナーの方々と接する取り組みの影響ですね。彼らに憧れ、大きな新しい夢を抱く生徒が増えたのは事実です。日本を飛び出して海外トップ大学に進み、「世界を変えたい」という高い志を持つ生徒も出てきました。個々の興味関心を尊重して自走させ、教員が伴走する西大和学園の教育体制も大きいと感じています。

中村 教え込んで鍛えるイメージを持つ保護者は少なくないと思いますが、意外ですね。

中岡 生徒主導の気風が広がったのは、10年ほど前でしょうか。生徒と教員の双方に、一気に広がりました。学力をさらに伸ばし、本校が掲げる「次代を担うリーダーの素養」を身につけるには、主体性が一番ですからね。

中村 生徒たちには具体的にどんな変化がありましたか。

中岡 一つひとつの取り組みの本質を捉え、それが何につながるかを考えるようになりました。そして個々に得意を極める道を模索し始めるようになったのです。進学実績の伸び方にも比例していると思います。今では自分たちでサイトを立ち上げ、プリントを分類したり、要点の解説動画や考査の予想問題をアップしたりしています。またAI時代を意識して本校は中学からプログラミング言語Pythonを利用した独特な授業に注力していますが、笑顔判定アプリや、校内の情報やスケジュールの共有を支援するアプリを考案した生徒もいましたね。

中村 なるほど。楽しみながら学びを深めているのですね。

中岡 個人で楽しみつつ「みんなのために」という意識が働いているのも特徴です。昨年は夏休みに校内をすみずみまで測量する生徒たちの姿があり、何をしているのか尋ねると、文化祭をバーチャル空間で開催するためだと言っていました。その後バーチャル校舎が完成しまして、来場者がアバターでめぐるオンライン文化祭が実現しました。生徒の創意には、しばしば驚かされています。

中村 年々高度になっていきそうですね。

中岡 「先端科学に興味を持った、そのためには物理が必要だ」という具合に、目の前の教科が楽しむための手段になっています。ワクワクすることが最大の成長因子です。

体験学習の気づきが視野をひらく

中村 そうなると、授業の進め方や授業外の取り組みが大切になりますね。

中岡 高度な授業は担保しつつ、視野をひらく方策を多数取り入れています。「刺激」と「感動」が生徒の成長を促すと考えているからです。例えば、中学ではSSHSuper Science High School)の中学版という位置付けで、「SSJ体験学習」と称したプログラムを設けています。いつまでも心に残るような体験、具体的にはウミガメの産卵観察や化石採集、流星群の観察といった自然体験に多数触れることで好奇心が高まるのです。教員も熱意を持って「この経験がどんな成長につながるか」を考えて新たな体験を見つけてくるため、年々数が増えています。

中村 体験学習は自然科学系の催しが多いですか。

中岡 キャリア教育も実施しています。主には中2からで、動物園や水族館、新聞社、裁判所、大学病院、発電所など毎年様々な体験をします。視野を広げることは、自立した進路選択の基盤です。そして、こういった経験を次にどうつなげるかがカギになります。高校では尖ったグローバルサイエンティストを目指す本校独自のSSHや、アントレプレナー教育を実施して優れたグローバルビジネスリーダーを目指すAIPAction Innovation Program)といったクリエイティブな活動で、学びをさらに深めていきます。

 男女別学と共学の利点と多様性の尊重

中村 中学は男女別学ですが、どんな意図がありますか。

中岡 発達段階の特徴を踏まえた、きめ細かな指導で基礎を定着させるためです。

中村 双方がバランスよく力をつけたところで、共学クラスになるのですね。

中岡 そうです。男女とも精神的にも学問的にも大きく成長する時期に共学化することで、奮起し合って磨かれるのです。

中村 多様な個との関わり合いは有効ですね。

中岡 共学化のみならず、21世紀型特色入試や外国人入試、サテライト入試などで多種多様な価値観と才能を持つ生徒が集っています。尊重し合い、ここまで刺激し合える環境は本校ならではだと考えます。

AI時代のリーダーに必須の三つのスキルを高める

中村 AI時代のリーダーを育成する上で、どういったスキルを重視しますか。

中岡 必要なスキルは三つだと考えています。一つ目は「英語やICTをナチュラルに使いこなす力」、二つ目は「異なる価値観や文化、歴史などを持つ人たちを尊重しチームとしてマネジメントする力」、三つ目は「世界標準で物事を考え、情報を活用して課題を発見し解決する力」です。

中村 まずは、英語教育やICT教育について教えてください。

中岡 英語の授業の一環で多読に取り組みます。図書館には冒険、推理、恋愛など様々なジャンルの洋書が6000冊ほどあるので、生徒は好みに合わせて読み進めます。また体育と音楽はネイティブスピーカーの講師が教えるイマージョン授業を取り入れ、オンライン英会話も実施することで、英語を身近にしています。ICT教育では全生徒にChromebookを持たせて、様々な授業や場面で活用しています。先のプログラミング授業もその一つです。あらゆる業界でDX(デジタル技術による変容)が進んでいます。本校も授業の質やあり方を世界レベルにまで高めていきたいと考えています。

中村 二つ目の多様性を尊ぶには、学外連携も取り入れますか。

中岡 英語教育にも通じますが、やはり世界を舞台に活躍するリーダーの育成を目指していますので、自分の目で見て自らの肌で感じさせることを第一に、生徒を学外に積極的に出しています。昨年はコロナのため実施できませんでしたが、中3はアメリカでホームステイをしつつ現地大学を訪ねる12日間の研修プログラムに全員が参加します。また希望者には3カ月あるいは1年のアメリカ留学も設けています。

中村 高校ではどのようにされていますか。

中岡 一昨年時点のプログラムですが、21世紀はアジアの時代ともいわれますので、生徒全員がインド、中国(北京・深圳)、シンガポール・マレーシアのいずれかでの探究学習に挑みました。例えば、インドではデリーのグローバル企業が集まるサイバーシティーを訪ね、企業トップの方々からそのビジョンを直接学びました。国際社会に貢献し、活躍されている姿に感動したようです。そして現地の名門高校の生徒と丸一日語らって友情を育み、帰国後も連絡を取り合っています。踏み込んだ深い交流ができる場を設けることで、バックグラウンドの異なる人と互いに認め合いながら主張するという、次代を担うリーダーの素地をつくっています。

中村 課題解決力を育むには、何かアウトプットの機会をつくっているのでしょうか。

中岡 中学では10年前からキャリア教育の一環で、企業が提示する社会課題の解決策をプレゼンする「クエストエデュケーション」という探究プログラムに参加しています。昨年、本校の中2のチームが全国大会の頂点に立ちました。上級生がメンターとしてフォローする体制も整えており、双方の成長につながっていると感じます。

中村 立派な成績を残されたのですね。やはり高校で深めていくのですか。

中岡 高校生は学びを自分たちで発展させて新しい何かを生み出す素地があるので、チームでのディスカッションを軸としつつ、情報の取り方や生かし方をブラッシュアップします。例えば、近年では奈良県の市町村との連携の下、内閣官房・経済産業省が提供するRESAS(地域経済分析システム)などICTを活用して情報を集めました。そしてそれらを駆使した地域活性プランを提案しています。さらには、東京大学、京都大学をはじめとする国内外の大学や産業機関とも連携していますので、英語とICTを使ったアカデミックな課題にも挑んでいます。

中村 充実の内容ですね。

中岡 本校の卒業生であるトップランナーから「The world’s most valuable resource is no longer oil, but data.(世界で最も価値のある資源は、もはや石油ではない。データだ)」と聞きました。ビッグデータから価値のある情報を取り出し、扱えなければ話にならないということです。

中村 ますます注目を集める「ICTを活用した授業」にはどのように取り組んでいますか。

中岡 10年前にICT環境を整備しました。当時の教育界では先行した取り組みだったと自負していますが、まず、ビジネスでは当たり前となっているクラウドやグループウェアを整備しました。授業も電子黒板やAppleTVを使っており、コロナ禍においてもオンライン授業のなかでチャットを用いた双方向性を重視しました。対面より学習効果が高まったという生徒も数多くいます。また、生徒は1人1台のBYOD(個人所有のデジタル端末の活用)を、日常の連絡でも大いに活用しています。

中村 プラスに働いているのですね。

中岡 そう思います。この先はより変化の激しい時代になっていきますが、私たちはチャンスの時代だと考えています。だからこそ、単に大学進学のための学力だけでなく、AI時代に必須とされるスキルを身につけさせ、個々の才を発掘し極めさせたいのです。引き続き、ダイナミックな教育改革で生徒の可能性を無限に伸ばし、真の世界リーダーとして活躍できる人材を育てていきたいと思います。

西大和学園中学校・高等学校の中岡義久校長(左)と朝日新聞の中村正史コーディネーター

西大和学園中学校・高等学校
中岡義久 校長
なかおか・よしひさ/1963年生まれ。87年に開校間もない西大和学園に着任。同校改革において、約20年間学年部長として第一線で活躍する。教頭7年を経て、2016年より現職。

※大学通信調べ

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