全国に直営校を持ち、毎年医学部合格者を多数輩出している医学部予備校富士学院の坂本学院長と統括本部の村田本部長に今の医学部受験の現状と、合格のポイントやその他、塾や予備校選択のポイントについて聞いてみました。

生徒一人ひとりを全力でサポート

――富士学院について特徴などを含め、少しご紹介していただけますか?

坂本 富士学院は1995年に福岡で創業し、今年で創立26年目を迎える医学部に特化した専門予備校です。現在は福岡をはじめ鹿児島、小倉、岡山、大阪、名古屋、東京など全国8校舎を直営校として運営しています。

F・C(フランチャイズ)で校舎を増やしている塾や予備校もありますが、F・Cだと校舎を増やす上では楽ですが、オーナーがいて経営が別になってしまうことで、校舎間で生徒の争奪戦が発生したり、校舎間での情報も共有しづらくなります。そうすると指導方針の共有をはじめ学院としてきちんと責任を持った指導ができなくなるので、あえて直営校にこだわった運営をしています。

「医師を目指す様々な試練や経験は必ず未来のための輝かしい財産となる」
富士学院学院長 坂本 友寛 氏

村田 特徴は本当にたくさんあるのですが、まず挙げられるのが職員・講師が生徒のためにとにかく一生懸命に頑張って、全力で生徒をサポートしている点だと思います。

坂本 そのために富士学院では、これまでも講師と職員の採用には特に力を入れており、業界でも一、二位を争うと言われるくらいの厳しい採用を行っています。

村田 全ての校舎に専用食堂と男女別の寮を完備しているのも大きな特徴の一つです。専用食堂は現役生も利用できるのですが、生徒の体調管理を考えて、栄養のバランスの良い、あたたかい食事を土・日を含め毎日3食提供しており、生活面の管理にも注力しています。

その他、合格実績についても富士学院では、実際に何人生徒を預かって何人合格したのかをきちんと実数で公表していますが、これも他の塾や予備校にはない大きな特徴の一つだと思います。

ーー実数で合格実績を公表している塾や予備校は少ないのですか?

坂本 そうですね。ほとんどの塾や予備校はのべ人数のみで実績を公表していると思います。しかし、のべ人数だと一人で何校も合格する生徒がたくさんいるので、本当の実績はなかなかわかりづらいんですが、ほとんどがそういう出し方をしています。

医学部受験は学力偏重から面接・小論文重視の傾向へ

ーー今の医学部受験の現状について教えて下さい。

村田 バブル崩壊以降、増え続けていた医学部志願者ですが、ここ数年では18歳人口の減少を含め、微減傾向にあり、今年度入試も志願者を現時点で公表している大学を見る限り多くの大学で昨年度より志願者が減っている状況です。医学部受験の志願者や難易度の推移を簡単にまとめると、バブル時期の1985年から概ね2000年頃までは、志願者も2〜4万人台で、難易度も今ほど高くない時代がありました。

それが2001年以降になると、医学部志願者がどんどん増えていき、15年頃までは高い学力が無いと医学部医学科には合格できなくなりました。但し、もっと言えば学力さえあれば合格できた時代でもあったんですね。ところが16年以降は、同じように高い学力は必要なのですが、それにプラスして面接や小論文などで受験生そのもの(医師としての資質)を見ていくという流れが強くなり、学力だけあっても医学部医学科には合格できなくなったというのが今の医学部受験の現状です。

坂本 そういう意味では今が一番医学部に合格するのが難しい時代ということになります。

「最良の環境と医師になるという強い思いで医学部受験を乗り超えてほしい」
富士学院本部長 村田 慎一 氏

生徒一人ひとりに応じたきめ細かい受験対策が必要

ーーそういう中、医学部に合格するためにはどういう勉強や準備が必要でしょうか?

坂本 今が一番難しいという話をしましたが、先程お話しした様に、ここ数年は志願者が若干減少してきており、この傾向は今後も当分続くと見ていますので、そういう意味ではピーク時に比べると合格のチャンスは広がってきているのは間違いありません。だからこそ最後まで諦めずに頑張るということがまず求められてきます。

それと少し意識してほしい事は、入試で満点を取る必要は無いということです。合格最低点をどうクリアするのかが大事であり、そのために苦手な科目とどう向き合うのか、苦手な分野をどう補填していくのかなど、個々に異なる対策が必要となります。得意科目や苦手科目をはじめ、学力の現状はそれぞれ生徒毎に違うので、まずは自身の現状を正しく把握し、合格のために何が足らなくて、何をどうすれば良いのかをきちんと理解する事、やるべき課題に対し逃げずに最後まで頑張るという姿勢や行動がとても大事になります。

村田 あとは、生徒の現状を踏まえた大学との相性もありますので、大学毎の正しい最新の入試情報を取得して、自身の科目毎の現状を踏まえ合格が一番期待できる大学に出願し、その大学の対策を具体的に取っていくことが、合格への大きなポイントになります。

坂本 先ほど話をしたように、今は学力だけあっても合格できない時代です。大学によっては小論文対策も必要になりますし、特に面接試験については現在全ての大学で行われており、面接の方式や評価の仕方も大学毎でかなり違うので、その具体的な対策も必要です。そういう意味では、やみくもに勉強だけを頑張っても、今の医学部入試にはなかなか対応できない部分も多くあると思います。

様々な角度から塾や予備校を見て選択を

ーーそういう意味でも塾や予備校の存在は大きい訳ですね。ここで塾や予備校選択のポイントについて伺いたいのですが

坂本 はい、まず一番のポイントは信頼できる塾や予備校を選択するということです。現役生もそうですが、特に浪人生は一年間という長い期間を通うことになるので、学習環境を含め、自身が一番頑張れる、そして安心して学習に打ち込める塾や予備校を選択すべきです。その中でも特に医学部受験は他の学部の受験とは違い、医師になる人を選択する試験でもあるので、医学部受験の学習環境がしっかりと整っている塾や予備校を選択することをおすすめします。

村田 あとは塾や予備校を選択する上で、合格実績はひとつのポイントになると思いますが、実は合格実績の出し方がそれぞれの塾や予備校で大きく違うので、そこはぜひ確認してほしいと思います。

ーー塾・予備校選びで気になる合格実績ですが、公表の仕方がどのように違うのですか?

村田 先ほど話したように、富士学院は何人預かって最終的に何人が医学部医学科に合格したのかをきちんと公表しています。しかし多くの塾や予備校は合格者ののべ人数だけを公表しています。その他一次合格者をあたかも最終合格者のように公表するケースや、他学部の生徒を含めて合格者を出しているケースもありますので、よくよく注意してみていくことが必要です。

坂本 今年度の合格速報についても富士学院は随時合格速報を公表していますが、未だ昨年度の実績だけを公表しているところも多くあります。このように合格実績ひとつ取っても、塾や予備校によってその出し方を含め、考え方や指導の方針や指導の在り方も違うので、様々な角度から塾や予備校をしっかりと見て、選択していくことが必要だと思います。

最後に大事なのは医師になるという強い思い

ーー最後に医学部を目指して頑張っている生徒達に一言アドバイスをお願いします。

村田 どんなに素晴らしい講師が居ても、どんなに周りがサポートを行ったとしても、主役である皆さんが医学部を目指し、医師になるという自覚と覚悟を持って頑張らないと、難関の医学部合格を勝ち取ることは正直難しいと思います。大事なのは医師になるというその思いです。その思いが強ければ強いほど、苦しいときにも踏ん張ることができます。その強い思いを持って受験勉強をぜひ乗り越えてほしいと思います。

坂本 医学部を目指す勉強は本当に大変です。大変だからこそ、それを乗り越えた人だけが人の命と向き合う医師としての仕事を選択でき、活躍できるのだと思います。今勉強を頑張っている中で思った結果が出ず、悩んだり、つらい思いをしている人もいるのかも知れませんが、今頑張っていること、つらいこと、悩んでいること、その全ては貴方自身の輝く未来のための必ず大きな財産となります。

今は、将来医師として活躍していくための様々な試練や経験をあえてしていると思って、堂々とその試練に立ち向かってほしいと思います。努力は絶対に裏切りません。思いが強ければ強いほどその思いは必ず叶います。皆さんの最後まであきらめないその思いや頑張りを心から期待していますし、応援していきたいと思っています。