同志社大学は創立150周年の節目をいよいよ2025年に迎える。「VISION2025」を経て目指すのは、次世代社会のため新しい価値を生む「同志社ルネサンス」。創立者・新島襄が理想とした「深山大沢(しんざんだいたく)」となるキャンパスの創出に向けて邁進(まいしん)していく。

 150周年とその先へ「同志社ルネサンス」の実現を目指す

小原克博 学長

 歴史に向き合い再発見・再解釈 トランスフォームする同志社

 2025年に創立150周年を迎える本学は、「同志社大学VISION2025」を掲げ様々な事業を展開してきました。150年から先の同志社を展望する大きな力となるのが同志社オリジン(建学の理念)を確認し向き合うことです。西洋史におけるルネサンスは、忘れられていた古代ギリシャの思想や知識がアラビア半島を経由し、ヨーロッパに再流入して再発見されたことが一つの起爆剤となり芸術や学問などに革新を起こしました。古いものと新しいものが出会い「知の爆発」が起きたように、本学も同志社オリジンを再発見・再解釈し次世代社会のための新しい価値を生み出す「同志社ルネサンス」を目指します。

 同志社ルネサンスを実現するために展開するのがDoshisha TransformationDX)です。同志社をトランスフォームし、新たなビジョンに向かう必要があります。24年度は「深山大沢」としてのキャンパスの形成など、10項目の重点課題に取り組みます。「深山大沢」とは、大学設立に奔走していた晩年の新島襄が大学の理想像として頻繁に用いた言葉です。現代的に言えば「様々な個性を生かし育む、多様性と驚きに満ちた環境」となるでしょう。「深山大沢、龍蛇(りゅうだ)を生ず」を愛唱した新島は、同志社大学から龍蛇のごとき大人物が輩出されること、そして、一人ひとりの個性が生かされることを願いました。

 また、新島は教育によって人や社会を再生、トランスフォームできるという強い信念を持ち、教育・研究の成果を社会に還元することを重視していました。現在、同志社大学は地域社会との連携を進め、今年7月には京田辺市、日産自動車と、クリーンエネルギーを活用した持続可能なまちづくりに向けて共創する「3者連携協定」を締結。本学は地球環境の持続的な発展に寄与するサステナブル・キャンパスを目標としており、モビリティとエネルギーマネジメントの研究を発展させ、社会実装を目指していきます。将来的に京田辺キャンパスと最寄り駅を自動運転のバスで結べばアクセスが向上し、市民との交流もより活発になることが期待できます。

分断の進む世界で良心を持つ人物を輩出

 本学は今、学生数約3万人、14学部・16研究科を擁する総合大学となりました。社会のニーズに応え、データ分析能力を身につける「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」を開設しています。また私が代表を務めてきたネクスト「深山大沢」プロジェクトでは、よりよい未来社会を実現するため、メタバース社会、AI・ロボット共生、食・エネルギーを柱に研究し、大学院生と社会人が共修する「次の環境」協創コースにもこの学びを展開しています。

 社会のニーズに応えるだけでなく、社会を先導し、イニシアチブを発揮することも大学の役割です。現代は分断の社会と言われ、少子高齢化、経済格差など先行きが不透明な時代。分断を緩和し問題を解決へと導くには、良心を持つ人物の輩出が必要です。良心の語源的な意味は「共に知る」。お互いを知り、異なる価値の仲介ができる人を育てたいと考えています。

 新島が「人一人ハ大切ナリ」と述べたように一人ひとりの学生を大切にする伝統が同志社には息づいています。専門性はもちろん全体を俯瞰(ふかん)できる総合知を養えることも魅力です。各界で活躍する卒業生ともネットワークがあり、世代を超えてつながる同志社コミュニティもまさに「深山大沢」。本学は在学中も卒業後も成長できる豊かな環境が整っています。

新島襄の理想を具現化した同志社大学テュービンゲンEUキャンパス

グローバル地域文化学部 グローバル地域文化学科 3年 上野 茜 さん

 中学・高校時代にオーケストラ部に所属し、ウィーンで演奏したことから大学ではドイツ語を履修。ドイツ語の能力向上と、異文化の体験ができる春学期の「ドイツ語・異文化理解EUキャンパスプログラム」に参加しました。ドイツ・テュービンゲン大学に通う留学生とドイツ語を学び、ドイツ語の学習用コンテンツで自習にも力を注ぎ、現地大学生とペアで交流するバディなどドイツの人と積極的に会話。当初は分からない言葉を聞き返せずフラストレーションがたまりましたが、自分の言葉に置き換え「それはこういうこと?」と伝えるとどんどん理解できるように。留学前はCEFR(セファール:ヨーロッパ言語共通参照枠)が基礎段階のA1でしたが、帰国後は自立した言語使用者に相当するB2にまでレベルアップしたのです。

 テュービンゲンでの5カ月間の経験は、将来働いて多様な人たちと意思疎通する際に役立つと思います。言いたいことを言葉で伝える大切さに気づき、交渉力も養えました。ウィーンやプラハに一人旅もして、どこでも生きていける自信もつきました。今年の秋学期には、派遣留学でドイツ・マインツ大学に行きます。今度は大学のオーケストラなどアクティビティーにも参加して、海外での経験をさらに増やしていきたいです。

フィールドトリップで欧州議会を見学

現地で身をもって学びTOEIC®スコアがアップ

グローバル地域文化学部 グローバル地域文化学科 3年 河本 七彩 さん

 ヨーロッパの文化に触れ、集中して英語を学べる環境に身を置きたいーーそんな思いから秋学期の「ヨーロピアン・スタディーズEUキャンパスプログラム」に参加。テュービンゲン大学の学生とともにディスカッションをベースに学ぶ授業では、ヨーロッパの視点を現地で体感できたことが大きな収穫でした。特に宗教を学ぶ授業が面白く、フィールドワークでモスク、チャペル、シナゴーグと世界の宗教施設を訪問した時には宗教の違いを知り、日本の宗教の現状を問われ、改めて自国の宗教についても考えさせられました。ベルリンでのフィールドワークでは、日本にいる時にレポートに書いた「虐殺されたシンティとロマのための記念碑」を1人で訪ね、現場を前に感情が揺さぶられる経験もしました。

 留学中に力になってくれたのが、ペアで交流するテュービンゲン大学のバディです。留学前からメールし合い、現地ではバディと一緒に開催するイベントに参加して母国料理を振る舞い合ったり、カフェなどに出かける機会を自ら作ったりして積極的に交流。私には2人のバディがいて、話好きな人と、静かな聞き役の人だったので、聞く力と話す力がつき、帰国後のTOEIC®100点以上スコアがアップ。この経験を生かし、将来は日本と海外の架け橋になるような職に就きたいと考えています。

 ※TOEIC」は米国Educational Testing ServiceETS)の登録商標です

フィールドワークで訪れたベルリンのブランデンブルク門前にて

Topics 京田辺キャンパスに新たなスポーツ拠点が誕生

  2025年に同志社創立150周年を迎えるにあたり、京田辺キャンパスでは27年の完成に向けて新たなスポーツ交流拠点「スポーツ・コンプレックス」の整備を進めています。現在ある施設に加え、アリーナや多目的コートなどを新設。学生の授業や正課外活動の充実・発展とともに、教職員や卒業生、地域住民などの健康維持・向上への貢献、スポーツを通じた産官学連携も推進し、スポーツ交流の拠点を目指します。

 26年に完成する新アリーナは、活動者以外にも配慮したダイバーシティデザインを採用。各種公式競技を行うことが可能な2000平方メートルの規模で、2階には観覧席も設置されます。また、既存のトレーニング施設の改修も予定しており、運動習慣のない学生が運動を始めるきっかけとなる場所を目指します。さらに、ミーティングスペースやラウンジも設け、様々なニーズに対応した最先端の施設となります。

完成イメージ

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