コロナ禍の中で2回目の新年を迎えました。幸いにも、昨年度と比べると日本国内での新型コロナウイルス感染症は比較的落ち着いています。年末年始の帰省も一昨年レベルまでは戻っていませんが、それでも移動する人数は増加しています。しかしながら、国外に目を向けると変異したオミクロン株の感染拡大が多くの国で続いており、まだまだ気を緩めることは出来ない状況が続いています。受験生の皆さんも基本的な感染症予防の習慣(マスク、手洗い、うがいなど)は、引き続き継続して下さい。

さて、1月15日・16日は大学入学共通テスト(以下、「共通テスト」)の実施日です。ここからいよいよ本格的な大学入試シーズンに突入するわけで、受験生の皆さんは連日頑張っていることと思います。また高2生の皆さんは、「次はいよいよ自分たちの番だ」と気持ちが引き締まっているのではないのでしょうか。

今回は、まず共通テストの確定志願者数をお知らせします。そして、共通テスト前後の注意点についてまとめてみましたので、ぜひ参考にして下さい。

大学入学共通テスト出願状況

2022年度確定志願者数

大学入試センターは12月7日、2022年度共通テストの確定志願者数を発表しました。確定志願者数は530,367人(現役生:449,369人、既卒生等:80,998人)で、前年度より4,878人(前年度比-0.9%)減少し、大学入試センター試験(以下、「センター試験」)を通して4年連続減少となりました。

現役生、既卒生等別の志願者数増減を見ると、現役生は426人(前年度比-0.1%)の減少、既卒生等は4,452人(前年度比-5.2%)の減少となりました。この結果、現役占有率(全志願者数に占める現役生の割合)は84.7%となり、過去最高となった前年度の84.0%からさらに0.7ポイントアップしました。現役志願率(高等学校等卒業見込者に対する志願者の割合)も45.1%と前年度から0.8ポイントアップし、過去最高となりました。現役生が微減に留まった理由として、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが未だつかないことから、各高校等でリスク回避を含めて積極的な受験指導が行われたことが考えられます。

一方、既卒生等は5.2%の減少でしたが、人口動態からは既卒生等は10%近い減少が予想されていましたが、約5%の減少に留まっており、大学不合格者の再チャレンジ組に加えて、再受験生(大学に在籍する学生の再受験)の増加があったことが推測されます。この増加には、コロナ禍の中で思い描いたキャンパスライフが実現できなかったことが少なからず影響したと考えられます。

共通テスト前日・当日の心構え

  1. 体調管理も実力のうち!
    本番の前日には、新しいことには手を出さずに軽めの学習に留めて、早めに睡眠を取るようにしましょう。ホテル等に宿泊する場合には、部屋が乾燥しやすいため、空調の調整には気を配って体調を崩さないようにして下さい。最近のホテルでは加湿器や空気清浄器も備えられているので、有効に活用しましょう。また、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、風邪対策として、手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染予防処置も忘れずに励行しましょう!

  2. 余裕をもって到着しよう!
    共通テストが実施される土・日は、鉄道やバスの時刻表、停車駅が平日とは異なることもあります。平日は大学最寄り駅に停車する快速電車が土・日は通過するということもあります。事前に会場への下見をした場合にはこういった交通機関の運行状況にも注意して下さい。スマートフォンなどで経路検索サービスをうまく活用して予定を立てて、交通機関の遅延などが起きることも考慮して早めに会場に向かうようにしましょう。
    さらに、東京や大阪の大規模なターミナル駅や地下鉄の駅で乗り換える際は、駅の中の移動に時間がかかる場合もあります。普段利用しない駅で乗り換える場合は、駅構内のチェックも事前にインターネットを活用して行っておきましょう。さらに、最近の大都市圏では交通系ICカードの普及により、切符の自動販売機が減少しています。できるだけ交通系ICカードの利用を考えて、事前のチャージも忘れずに準備しておきましょう。
    また、1日目の地歴公民の選択科目数や、2日目の理科の選択パターンによって開始時刻が異なります。当日の受験科目数や選択パターンの変更、そして20分を越える遅刻は認められませんので、余裕を持って試験会場に向かって下さい。

  3. 試験が全科目終了するまで、終わった科目の見直しは我慢!
    試験会場では、各試験開始前に教科書や参考書に目を通す場合には、余計な不安感を生まないためにも得意分野を再確認するくらいにしておきましょう。休み時間が長いことも共通テストの特徴ですが、休み時間にスマートフォンで予備校などのサイトで概況を確認したり、友人と答え合わせをしたり、教科書や参考書で答えを確認したりすることは絶対に禁物です。まずは、トイレや筆記用具の準備、休憩など次の試験への備えが最優先です。なお、地歴公民、理科②の2科目受験者の途中10分間は休憩時間ではなく、あくまでも答案回収等の時間なので、途中退出をすることはできません。したがって、あらかじめトイレ等を済ませておくことが必要です。
    1日目の試験後も同様で、終わったことを振り返らずに2日目の準備に全精力を使いましょう。また、本番で特定の科目が思うようにできなくても、他の受験生も同じだと考えて下さい。すでに終わった試験に気を取られて、残りの試験に集中できなかった、では泣くに泣けません。「共通テスト結果の情報収集は2日間すべて終了してから」です。
    もし、共通テスト当日に病気等で受験できなくなった場合には、2022年度はコロナ禍対策の特例として、本試験の2週間後に全国の都道府県に1ヶ所以上設けられた会場で行なわれる追試験を受験することになります。しかし、都道府県に1ヶ所会場が設置されるといっても、そこから離れた居住地の受験生にとっては、移動など追試験受験の負担が大きいことから、本試験までの体調維持には万全を期して下さい。

個別(2次)試験、私立大出願について

国公立大の個別2次試験出願期間は1月24日(月)から2月4日(金)で、あまりのんびりと考えている時間がありません。以下に出願の注意点をまとめましたので、参考にして下さい。

  1. 出願は総合的に判断して決定!
    共通テストが終了して、駿台とベネッセコーポレーションが共同で実施する共通テスト自己採点集計「データネット」の個人成績表は1月20日(木)に返却予定です。国公立大の出願には、自分の共通テストの得点、個別(2次)試験の配点、出題傾向、これまでの模試成績、予想されるこれからの学力の伸び、近年の入試結果などを総合的に判断して決めるのが理想です。
    どこに出願すればより合格可能性が高くなるかという判断材料は、現在ではインターネット上で検索できるようになっています。スマートフォンなどで簡単に検索できますが、単純に目標ラインと自分の成績だけで出願校を決めると、同じように考える受験生が特定の大学に集中して激戦に巻き込まれる可能性があります。また、自分だけで考えるとなかなか決断がつかないという人もいるでしょう。最後は自分自身で決断しなくてはなりませんが、どうしようと少しでも迷ったら、高校や予備校等で進学相談を受けて、先生など第三者の意見を取り入れることも大事です。

  2. 必ず大学の「学生募集要項」やホームページで確認!
    国公立大だけではなく、私立大の出願もこれからという人もいるかもしれません。インターネット出願を採用する大学が多くなり、「学生募集要項」を印刷物では発行しないという大学も増えています。インターネット出願のメリットの一つに、出願期間中は24時間いつでも出願登録ができるということがありますが、だからといって準備がギリギリにならないように注意して下さい。
    なお、インターネット出願でも、必要書類をプリントアウトする、登録完了後や受験料納入後に大学が指定する書類を郵送するなど、すべてがインターネット上で完了するわけではありませんので、十分に注意して下さい。さらに紙の願書での出願も認めるか、インターネット出願のみなのかは大学によって異なりますし、出願の手順も当然大学によって異なりますので、志望大学の情報は必ず大学の学生募集要項やホームページ等で確認することを忘れないで下さい。受験したい大学の登録を期限内に終えて安心してしまい、受験料の振り込みを忘れた大学があった、などという失敗例もあります。

共通テストが終了すると、すぐに私立大入試も始まります。受験生にとっては今まで以上に一日の過ぎるのが早く感じられるでしょう。入試が終わってから後悔することがないように、毎日を大事にして頑張って下さい。