残暑から一転、初冬さえ感じる気候になってきました。北海道や東北では初雪の便りも届きつつあります。読書・スポーツ・食欲など、さまざまな形容詞が付く「秋」。受験に向けて勉学に励むのにも良い季節になってきましたが、新型コロナウイルス感染症だけではなく、インフルエンザの流行が気になる季節でもあります。入試が近づけば近づくほど、体調を崩して予定がうまく消化できないと余計な焦りが起きてしまいます。今まで以上に体調管理には十分に注意してください。
さて、今回はまず2022年度大学入学共通テストの出願状況をお知らせします。
大学入学共通テスト出願状況
さる10月7日に大学入学共通テストの出願が締め切られました。大学入試センターの集計によると、7日の17時現在で受け付けた志願者数は501,981人で、前年度の受付最終日17時現在と比べて12,670人(約2.5%)減少しています。駿台では最終的な確定志願者数は約53万人前後とわずかですが前年度より減少して、4年連続減少すると予想しています。なお、確定志願者数については12月上旬に発表される予定です。
ところで、大学入学共通テストは国公立大志望者だけではなく、私立大専願者を含めたほとんどの受験生にとって、大学入試の第一関門となっています。したがって、しっかりとした大学入学共通テスト対策を立てて、それを実践していくことが秋から冬にかけての学習の中心だといえます。
第1回駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試 系統別志望動向
9月12日を実施基準日として第1回駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試が実施されました。前年度は夏休みまで学校一斉休校などの影響で例年と同規模での模試実施ができなかったので、今年度初めて前年度との比較可能な大規模な模試結果だといえます。この結果を見ていくことにします。
下記の系統別志望動向グラフは、国公立大については各日程で第一志望とした大学の集計、私立大は総志望(志望順位に関係なく志望している大学すべて)の集計をもとに、系統ごとの志望者数の増減を、前年度を100とした場合の2か年対比の志望者指数で示したものです。なお、文中の( )内の数値は前年度対比の志望者指数を表しています。
【国立大学】
文系では、厳しい経済状況から公務員志向の高まりによって、法(102)が唯一微増となっています。一方で、コロナ禍の影響を最も大きく受けている外国語(90)と国際関係(89)が約1割の減少と目立っています。他の文系の系統は減少が続いていますが、微減からやや減少と減少率は小さくなっています。
文理いずれからも志望者がいる系統では、スポーツ・健康(107)はやや増加で、前年度の減少の反動が見られます。東京オリンピック・パラリンピックが無事に開催されたことで、この系統への関心が戻ったことも影響しました。芸術(104)がやや増加、総合科学(101)、生活科学(101)が微増となっています。芸術には映像関係、総合科学にはデータサイエンスが含まれることで、増加傾向が見られます。また、生活科学は前年度やや減少だった反動は小さいですが、微増となっています。一方で、教員養成・教育(95)は学校を取り巻く厳しい環境からやや減少となっています。
メディカル系では、薬(112)の増加が目立ち、コロナ禍の中でワクチンや治療薬の開発などで注目を集めた影響が見られます。歯(102)は前年度やや減少の反動で微増、医(101)、保健衛生(100)は前年度並で、医の人気は堅調ですが、保健衛生は前年度やや減少だった反動はあまり見られません。
理系は、理(100)、工(101)とほぼ前年度並で、前年度やや減少の反動はあまり見られません。農・水産(98)は微減で、前年度の減少に引続き減少で人気回復は見られません。
【私立大学】
文系では、国公立大学と同様に厳しい経済状況から公務員志向の高まりによって、法(105)が唯一やや増加となっています。一方で、コロナ禍の影響を最も大きく受けている外国語(83)は大幅減少となっています。他の文系の系統は減少が続いていますが、微減からやや減少と減少率は小さくなっています。
文理いずれからも志望者がいる系統では、総合科学(104)がやや増加で、この系統にデータサイエンスが含まれることで、増加傾向が見られます。他の系統は、ほぼ前年度並となっています。教員養成・教育(100)は国公立大学とは異なり、保育園不足等からニーズが高い幼児教育中心に減少傾向はありません。
メディカル系では、歯(103)、薬(103)はいずれもやや増加、保健衛生(96)、医(94)はいずれもやや減少と国公立大学とは動向が異なっています。医は都市部での設置大学が多いことから、地方在住の受験生が併願校数を絞り込んでいる影響を受け、経済状況悪化により学費が高い系統への敬遠傾向もあって、国公立大学ほどの高い人気は見られません。
理系は、理(99)、工(100)とほぼ前年度並で堅調な志望動向です。農・水産(103)は前年度の反動でやや増加しています。
模試の志望校判定に一喜一憂しない!
例年、この時期の模試では多くの受験生の志望大学が固まってくる時期なので、合格判定に一喜一憂すると思いますが、コロナ禍の中ではまだまだ志望動向は流動的だといえます。したがって、表面的な得点、偏差値、合否判定を確認するだけで終わらせないことが大切です。
共通テスト対策のマーク式模試では、設問ごとの正答率を確認して、受験生全体の平均点が高い問題、あるいは正答率が高いのに得点できなかった問題をチェックし、なぜできなかったかを分析して、その対策を講じていく必要があります。つまり、模試を受けた後にどれだけ自分の弱点補強ができたかで模試受験の価値が決まります。不明点や誤答部分は、「本番前に発見できて良かった」と考えましょう。
この時期は思うように成績が伸びずに苦しんでいる人もいると思いますが、決して弱気にならずに、最後まで第一志望をめざして努力を続けることが特に大事だといえます。引き続き、心折れることなく、前進していきましょう。