建学の精神に「広く学術の基礎となる知識及び技能を授けるとともに、深く専門の学問及び技術を研究・教授して、知的、道徳的に優れた技術者を育成し、また成果を社会に還元することにより、国家及び地域社会の発展に寄与する」と掲げる神戸常盤大学(神戸市長田区)は、実学の精神と独自の学風のもと「医療」と「教育」に主軸を置き、「人のための人」を育てる大学だ。 2020年には保健科学部に兵庫県内初の診療放射線学科を、22年には短期大学部からの学びを進化させ、同学部に県内初の4年制の口腔保健学科を開設するなど、時代の要請を敏感に受け止めながら果敢にチャレンジしている。

一人ひとりを優れた専門職業人に育てていく学び

学びの特徴の第一は「学生一人ひとりに寄り添うときわ型テーラーメイド教育」だ。知性と感性を備えた優れた専門職業人を育成するために、各人の個性・能力・希望に応じた教育を、正課・準正課・正課外を通して培っていく。その先に見据えるのは、「知識」「思考力」「創造力」「市民性」の4つの力(ときわコンピテンシー)を備え、社会的・職業的に自己を実現していく人材になることだ。 そうした中で学生は、初年度からキャリア形成のための個人面談・相談に臨む。同校の卒業生は、就職後の離職率が低いが、それは希望にかなった就職先が得られている証しだろう。「就職100%を実現するキャリア支援」があるから、在学中に目標を見失わず、モチベーションを維持しながら意欲的に学ぶことが可能になる。 学びのモチベーション・アップを支えているのは、校内にある「地域交流センター」と「ボランティアセンター」を拠点とする様々な活動だ。"健康"と"ふれあい"をテーマにした地域交流イベントや長田の“まちづくり”への参画、被災地でのボランティア活動などで得たリアルな体験は、学びの深化に不可欠な気づきを学生たちにもたらしている。

神戸市と連携し、新型コロナ対策の活動を支援

地域貢献を重視する大学として、コロナ禍では神戸市と連携した活動にも力を入れている。 6月9日には同大学医科学研究所に「神戸常盤大学PCR検査センター」を開設。「遺伝子関連・染色体検査(病原体核酸検査)」をスタートし、神戸市保健所の登録衛生検査所として登録された。同校によると、大学が運営する登録衛生検査所は全国で2例目という。 臨地実習前に学生や実習指導教員計488人にPCR検査を行い、陰性を確認して実習を行った。また今夏、流通科学大学が行ったオープンキャンパスに参加する学生・教職員ら485人の検査も担当した。 さらに、6月から須磨区内の神戸市の集団接種会場へ教員を派遣したり(10月まで継続予定)、ノエビアスタジアム神戸の接種会場ではキッズスペースの委託運営を請け負った。 7・8月に校内体育館で行った職域接種では、全学生の80%を超える1,160人が2回目接種を完了。職域接種会場では6カ国語の説明文を独自に作成し、外国籍の住民らにも対応した。