受験生の皆さん、保護者の皆さん。駿台の「志望校選びのアドバイス」は2021年4月号より、朝日新聞社の「寺子屋朝日」に掲載場所を移して、色々な情報をお伝えすることになりました。よろしく、お願いいたします。

さて、2021年度入試は、新たに大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)の導入とコロナ禍の中での実施となりましたが、なんとか大きな混乱もなく実施されたのではないでしょうか?そして、4月から受験学年となる新高3生の皆さんは、コロナ禍で高2での学校行事や部活についても制限が加えられたこともあって、必ずしも思い通りの学校生活が過ごせなかったという方も多いことでしょう。しかし、徐々にですがワクチン接種など感染症対策も進んでいます。各種イベントの実施も再開されており、前年度は中止となってしまった選抜高校野球大会もいろいろな制限はありますが、甲子園球場で開催されました。ぜひ、すべての新高3生の皆さんには、最終学年となる高校生活を充実させてほしいと思います。

その中で、第1志望校合格のために学習時間をどれだけ確保できるか。また、集中して取り組めるかが重要になります。コロナ禍の中で先輩たちはうまく乗り切り、2021年度入試は例年にない現役生有利の入試になりました。新高3生の皆さんも先輩たちに負けないように、日々を充実させて、悔いのない受験対策を行ってください。

さて、今回は国公立大の2021年度入試志願状況についての分析をお知らせします。以下の文章での( )内の数値は前年度の志願者数を100とする指数を表しています。この数値が大きいほど増加率が高く、競争が厳しくなったことを示し、反対に小さいほど減少率が高く、競争が緩和したことを示しています。なお、私立大の志願状況については、多くの大学の志願状況がまとまる4月中旬にお知らせします。

志願状況全体概況 ~一般選抜志願者数は2年連続減少~

文部科学省が2月24日に発表した2021年度国公立大一般選抜の確定志願状況によると、確定志願者数(独自日程で入試を実施している大学および専門職大学を除く)は425,368人で、前年度と比べて14,197人(97)の減少でした。大きく志願者数が減少した前年度に続いて、2年連続の減少になりました。しかし、募集人員も国公立大全体で1,180人減少したことで、志願倍率は4.39倍→4.30倍へ0.09ポイントのわずかなダウンに留まりました。

上のグラフは、過去10年間(2012年度から2021年度)の募集人員、志願者数および志願倍率の推移を表したものです。2019年度までは志願者数の減少はゆるやかでしたが、ここ2年間は減少率が高くなりました。しかし、今年度の共通テスト志願者数は、22,454人(96)の減少でしたが、国公立大全体の志願者数の減少率はそれよりは低く、コロナ禍による地元志向や経済環境の悪化に伴い、国公立大志向の高まりが見られました。

国公立大志願者数の減少要因

志願者数減少の背景には、下記の3点が考えられます。
① 前年度の弱気な出願による既卒受験生の減少に伴い、共通テストの志願者数が4.0%減少したことに加えて、学校一斉休校に伴う学習の遅れや共通テストが大学入試センター試験(以下「センター試験」)よりも難易度がアップするという予想やコロナ禍による無理な受験を回避する受験生の増加もあり、例年を大きく上回る欠席率となり、国公立大志望者の基礎数となる共通テスト受験者数が8.2%も減少しました。
② コロナ禍の中、長距離移動を敬遠し、都市部在住の受験生の地方国公立大への出願が減少しました。
③ 共通テストにおける文系3教科型(国語、地歴・公民、外国語)の平均点ダウンにより、文系3教科型入試を行う募集単位へ慎重な出願が見られた。

系統別志願状況

上のグラフは国公立大の系統別の前年度を100とする志願者指数を2ヶ年対比で示したものです。

薬(107)、総合科学(103)はやや増加でしたが、これら以外の系統は保健衛生(102)、生活科学(101)、社会(100)、工(100)、医(99)、農・水産(98)は前年度並で、他の11系統は減少で、特にスポーツ・健康(83)は大幅減少でした。

文系の系統では、コロナ禍の影響を強く受けた国際関係(90)は減少、外国語(93)はやや減少しました。また、法(92)は法曹界や上級公務員などを取り巻く厳しい環境による人気低下の影響が継続しており、前年度よりさらに減少しました。人文科学(93)は前年度の減少率が小さかったですが、厳しい経済環境を背景に就職直結型の系統でないことへの不安から減少率が大きくなりました。社会(100)は公立大での大幅増加が目立ち、微増ですが文系の系統で唯一の増加となりました。

理系では、理(91)は厳しい経済環境からより実学的である工への流れに加えて、コロナ禍で個別試験を中止し、共通テストの成績のみで選抜を行った横浜国立大・理工でこの系統に含まれる学科の志願者数合計(45)が半減以下だった影響が大きく、減少しました。工(100)は理で述べた実学志向もあり、人気は堅調でした。前年度は低人気だった農・水産(98)は微減に留まりました。特に、共通テスト重視の配点で、共通テストの高得点を生かそうとした層が流入した山形大・農(280)、宮崎大・農(176)の大幅増加の影響がありました。

メディカル系は、経済環境が悪化する中で、職業直結型の系統であることから人気が高まりました。医(99)は近年入学定員の増加で間口が広がり、既卒生が減少したことによる減少が続いていましたが、前年度並でした。コロナ禍による医療への関心が高くなったことに加えて、地方を中心に経済環境の悪化から職業に直結する医師を目指す理系上位層が他学部に志望変更しなかったことが影響しました。医とは異なり、歯(94)は歯科医師の将来への不安と共通テストの平均点アップにより医からの歯への志望変更が減少したことによりやや減少しました。薬(107)は、医同様に職業直結型であることに加えて、コロナ禍におけるワクチンや治療薬開発の話題が多く報道されたことから関心が高まり、やや増加しました。保健衛生(102)は比較的共通テストの目標ラインが低い地方公立大での設置が多く、共通テストの平均点アップの影響と地元志向によって微増となりました。

文理いずれからも志願者がいる系統では、オリンピック・パラリンピック効果が薄れたスポーツ・健康(83)は大幅減少し、この系統に含まれる学部で増加したのは埼玉県立大・保健医療福祉(健康)のみでした。教育を取り巻く厳しい環境から敬遠されてきた教員養成・教育(97)ですがやや減少に留まり、前年度より減少率が小さくなりました。地方での厳しい経済環境により、就職直結型の系統として狙われた影響が見られます。総合科学(103)はやや増加で、この系統に含まれる兵庫県立大・社会情報科学<中>(174)の激増と新設された筑波大・総合選抜理系Ⅲ、群馬大・情報の志願者数が加わったことが影響しました。

以上、2021年度入試の国公立大の志願状況の速報をまとめました。大学別の詳細な分析や2022年度入試変更点などは駿台予備学校のホームページに掲載・更新していますので、ぜひ参照してください。なお、2022年度入試情報は、コロナ禍の中で例年以上に不確定な部分が多くなっています。最終的な確定情報が出揃うのは、各大学の選抜要項が公表される7月以降になると思われます。そして、その後も変更が随時行われる可能性があります。いずれにしても、現時点でははっきりとわかっていることは非常に少ないので、皆さんも大学入試センターや志望大学のホームページなどを定期的にチェックすることを習慣づけてください。

さて、新高2生の皆さんは、まだまだ受験は先のこと思っている方も多いと思います。でも、これまでの学習状況はしっかりと確認しましょう。各科目でこれからやるべきことは何か、各分野の理解度はどうか、などを客観的にチェックしてみてください。大学合格のためには、ただ学習時間を多くすればいいというわけではありません。効率よく進めるためには、まず何をやるべきかを明確にしておくことが大事です。

志望大学や学部・学科がまだ具体的に決まっていない、という方も多いでしょう。でも、目標がはっきりすると、学習面でやるべきことも見えてきます。そのためには、まず志望大学・学部・学科をしっかりと定めることが第一歩となります。その際には、志望校を現在の学力で確実に合格できそうな大学にするのではなく、現在の学力より1ランク上の大学を目標にすると、モチベーションも上がるはずです。コロナ禍の中で、各大学のホームページも非常に充実しています。春休みを利用して、志望校研究もやって欲しいと思います。

まだまだ、コロナ禍の影響は残りますが、前向きに日々を過ごして、目標大学に向かって着実に進んでいきましょう!